ブロワーファンモーターとは? 構造と原理・特性・用途を解説
ブロワーファンモーターは吸い込んだ気体の圧力を上げ、速度を与えて送り出すモーターです。精密機器などに用いられる小型のものから、工場用や設備用の大型のものまであり、主に送風や冷却、換気、排気を目的として利用されています。今回はブロワーファンモーターの基本情報や構造・原理、特性、長所・注意点を解説し、ブロワーファンの用途や軸流ファンとの違いを解説します。
ブロワーファンモーターとは
ここでは、ブロワーファンモーターの定義について解説します。
ブロワーファンモーターの定義
ブロワーファンモーターは、強い静圧特性を利用して、効率よく機器内部の冷却や排熱することに適したファンモーターです。局所冷却用途や、部品が密集した通風抵抗の高い装置の冷却に使われます。
回転軸から垂直に空気を吸い込み、1か所の吐き出し口から羽根側面に沿って吐出するファンです。
ブロワーファンモーターの構造と原理
ファンモーターを選定するにあたっては、構造と原理を理解しておくことが必要です。
ここでは、ブロワーファンモーターの構造と原理について説明します。
ブロワーファンモーターの構造
ブロワーファンは、「インペラー」、「モーター」、「ケーシング」から成る構造です。 インペラーの中心に動力源となるモーターが配置され、軸受にはボールベアリングやスリーブベアリングが用いられます。 吸い込んだ風をケース内で静圧を高めて90℃方向に風を吐き出します。
一般的なブロワーファンのサイズは、外形 Φ45~150mm、厚さは20㎜~40㎜です。
ブロワーファンモーターの特性
限られた容積のケーシングの中で、インペラーが回転し、空気圧を高め排出口から一気に吐き出すために、静圧値が高くなります。
静圧が高いほど、遠くまで風を送ることができます。その構造から、風量より静圧値に特性をしぼったファンモーターです。
ブロワーファンモーターのP-Q特性(風量-静圧特性)には旋回失速領域がなく、右下がりのなめらかな曲線を描きます。
消費電力は風量が大きくなるにつれ、ほぼ一定割合で増加します。
ブロワーファンの用途
ブロワーファンの主な用途は高い静圧を利用した急速冷却や局所への送風、吸排気です。さまざまな機器・機械の内部冷却装置に活用されています。ここでは冷却用途、送風用途および吸排気用途に分類して、ブロワーファンの製品活用例を紹介します。
冷却用途として
ブロワーファンの特徴がよく活かされているのは、パソコンやプロジェクターといった電子機器内部の冷却用途です。これらの機器は高負荷で長時間稼働をすることが多く、CPUや電源機器内部の発熱が過剰になるとトラブル発生率が高くなります。静圧が高いブロワーファンは部品が密集した機器内部にも十分な風量を送れるため、排熱と冷却を効率的におこなうことが可能です。設置スペースが限られる精密機器類においては、吸排気の向きが変えられるという理由でブロワーファンを採用するケースもあります。
ブロワーファンは、電気自動車などの車載電池の冷却にも使用される場合もあります。車載電池を急速充電する場合など電池が高温状態となり劣化が急速に進むため、高効率で効果的な局所冷却装置が必要です。十分な風圧を出せるブロワーファンによって車載電池本体やその周囲の空気を対流させることで冷却し、長寿命化を図ることができます。
送風用途・吸排気用途として
ブロワーファンには送風・吸排気の用途もあります。たとえば建物の換気設備として、換気扇や通風ダクトに大型のブロワーファンを使用するといったケースもあります。あるいは床下換気システムとしてブロワーファンを設置し、水回りの湿った空気を排出するといった活用法もあります。静圧が高いブロワーファンを利用して、室内外で気圧差がある場合にも効果的が期待されます。
また、自動車のLEDランプ電源の排熱や、近年の一部グレード車やオプションとして、シートベンチレーションを装備したものが登場しています。シートベンチレーションとは、シート内のファンで空気の流れをつくり、背もたれや座面のシート内の温度や湿度を調節して快適性を高める機能のことです。このシートベンチレーションの用途にもブロワーファンが利用されることがあります。
ブロワーファンの選定方法
ファンの選び方は用途によって変わってきますが、ここでは電子機器などの冷却用途としてブロワーファンを選定する方法を紹介します。
<ブロワーファンの選定方法>
電子機器が正常に動作する範囲で、内部温度を何℃にするか決定します。装置内の発熱量と許容温度上昇値を調べて、決定した内部温度を維持するために必要な風量を求めます。
ファンを選定する場合には下記の要領で行います。
a) 装置内の発熱量を見積もる。
b) 装置内の温度上昇値を決定する。
c) 必要風量を試算する。
d) 装置内のシステムインピーダンスを推定する。
△P = KQn(Pa)
△P :低下圧力(m3/min)
K:定数 装置ごとに実測する
Q:風量
N:装置内の空気の流れにより決められる値で、定常流のときn = 1、乱流のとき、n = 2とするが一般的にはn = 2とする。
e) ファンカタログのP-Q特性よりファンを選定する。
f) 装置に実装し、温度上昇を測定する。
例:発熱量300Wのとき温度上昇値 T = 10℃ とした場合
システムインピーダンスを予測し、ファンを選定し、実装運転を行い、温度上昇を測定し、ファンの検討を行う。
ブロワーファンの最新技術動向
ブロワーファンの最新技術
さらなる小型化、高効率化といったニーズへ対応するため、ブロワーファンの進化もさらに進みます。ミネベアミツミでは、産業機械用途として開発された高圧ブロワのラインアップでは小型・軽量のACFANで、AC180~264Vの幅広い電圧に対応。省エネルギー性にも優れています。
ブロワーファンの市場予測
ブロワーファンの世界市場規模は年々増加の一途をたどっています。株式会社グローバルインフォメーションによれば、その規模は2028年に44億USドルまで拡大する見通しです。CO2排出量削減を目指す上で、エネルギー効率の高いブロワーファンの採用が進むことも予想されています。
さまざまな分野で多種多様なブロワーファンが活用されていくなかで、各メーカーによる流動解析や振動解析、構成部品の改良あるいは新素材の採用、デジタル制御システム、AI機能の実装といった発展も見られます。今後もさらにブロワーファンの用途が広がっていくのではないでしょうか。