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強制回転による振動と当社の取り組み転がり玉軸受は転がり要素として、複数の玉とそれを保持するリテーナを持ち、かつそれらを潤滑するグリースが封入されています。玉の運動はスピンやスリップを伴うため、非定常に出現する振れNRRO(Non-RepeatableRunOut非繰り返し性回転振れ)は理論的に避けられない事象ですが、ミネベアミツミでは創業以来のノウハウを結集し、それを究極まで追い込んだ軸受を開発しています。すなわち、玉の真球度・玉寸法の相互差を限りなくゼロに近づけ、内輪および外輪の溝の真円度や曲率を理想の設計どおりに保つことを実現しています。1980年代、ビデオテープレコーダ(VTR)やパーソナルコンピュータの本格普及によるハードディスクドライブ(HDD)の需要が増大し始めました。VTRではモータに使われている軸受の回転精度が画質を大きく左右し、HDDではディスクを回転させるスピンドルモータの回転精度が記憶容量や処理速度などの性能を決定するといってよいほど、軸受は基幹部品の一つでした。これらの軸受には、より高い精度の真円度、真球度、円筒度、特にNRROの低減が求められ、当社の軸受への精度要求は年々高度化していきました。HDDのスピンドルモータは、2000年代には軸受から流体動圧軸受に置き換えられましたが、ここで培われた技術は小型高速化の一途をたどるサーバー冷却ファンモータや掃除機用吸引モータ、歯科用ハンドピースなどの用途に応用され、毎分数万回転を超える驚異的な回転数が私たちの生活を支える製品に組み込まれています。軸受を用いた製品の開発において、製品の固有振動による振動周波数のコントロールは製品の所定の性能を左右する重大な懸案となる場合がありますが、当社では数十年間にわたる技術と実績の蓄積によりさまざまなご提案が可能です。振動にお困りの際は当社までお問い合わせください。71