Engineer's Voice - 2次側同期整流制御IC
Engineer's Voiceとは
ミネベアミツミNewsletterで発信している特集コンテンツです。
当社製品をピックアップして、開発・設計担当のエンジニアに開発秘話や苦労した点など、いろいろな話を聞いていく連載形式の特集となります。
#12次側同期整流制御IC
エレクトロニクス製品に電源はつきもの、その電源回路で重要な役割を持つ整流回路において半導体が活躍しています。
当社が開発した「2次側同期整流制御IC」という製品について、どういったものなのかエンジニアに聞いてみます。
ミネベアミツミは『2次側同期整流制御IC』という製品を開発しましたが、どういったところに使用するものですか?
これはAC-DC電源ICの一種で、2次側、つまりDC出力側で使用されます。例えば、私たちがスマートフォンを充電する時、コンセントにACアダプタを繋いで充電しますが、この時、ACアダプタの内部ではAC電圧(1次側)からDC電圧(2次側)への変換がAC-DC電源ICによって行われています。この変換効率を高めるキーデバイスが『2次側同期整流制御IC』です。このICが高効率を実現した背景には『同期整流』という回路技術がありました
随分身近なところで重要な役目をしているんですね。
ところで、「同期整流」という回路技術が高効率化の鍵のようですが、どんな技術でしょうか?
ところで、「同期整流」という回路技術が高効率化の鍵のようですが、どんな技術でしょうか?

ON抵抗が大きいためロスが大きい
同期整流とは電源の整流技術のひとつです。現在、ほとんどのACアダプタにおいて2次側の整流回路はダイオードで構成されています(図1)。ダイオードは整流特性があり制御が不要なので容易にDC出力を取り出すことができます。ただし、ダイオードは整流時のロスが大きく高効率の障害となります。このダイオードをMOSFET※に置き換えるのが同期整流という技術(図2)です
ダイオードをMOSFETに置き換えるとどんなことが起きるのでしょうか?

ON抵抗が小さいためロスが小さい
ただし安全に制御させる必要がある
MOSFETのON抵抗はダイオードと比較して小さいため効率の向上が望めます。ただし整流特性を有していないため適切なタイミングでON/OFF制御をしないと効率悪化やアダプタの破壊を招いてしまいます。それらを考慮して安全にMOSFETを制御するのが『2次側同期整流制御IC』です
※MOSFET: Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)の略称。「モス・エフイーティー」や「モスフェット」と読む。
高効率と一口に言っても、その裏側には多くの技術の蓄積があるんですね。
小さな部品ですが、こっそり“ごっそり”世界を変えていく半導体。私たちの2次側同期整流制御ICの今後にどうぞご期待ください!
今回ご紹介した製品はこちら
2次側同期整流制御IC
ミネベアミツミの「MM3878シリーズ」は、独自制御により高効率と安全性を両立させたAC/DC電源向けの2次側同期整流制御ICです。2次側の整流ダイオードをMM3878とパワーMOSFETを使用した同期整流方式に変更することで、電力ロスを減らすことができ、大幅な効率改善が実現できました。
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