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Engineer's Voice - SADIOT LOCK

Engineer's Voiceとは

ミネベアミツミNewsletterで発信している特集コンテンツです。
当社製品をピックアップして、開発・設計担当のエンジニアに開発秘話や苦労した点など、いろいろな話を聞いていく連載形式の特集となります。

#4SADIOT LOCK

SADIOT LOCK

精密部品のミネベアミツミとカギの総合メーカーであるミネベアショウワの技術の融合によって誕生したスマートロック「SADIOT LOCK」(サディオロック)。
スマートロックには、一戸建てやマンション、アパートなど、あらゆる環境で安全に動作することが求められます。新たにスマートロック市場に参入したこの製品の開発をどのように進めたのか、開発者に話を聞いてみました。

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「SADIOT LOCK」はミネベアミツミとしては前例の少ないコンシューマ向けを想定した製品ですが、開発に至った経緯を教えてください。
ミネベアミツミは2019年に株式会社ユーシンと経営統合をいたしました。ユーシングループには100年以上の歴史を持つドアロックメーカーの株式会社ユーシン・ショウワ(現ミネベアショウワ株式会社)があり、このドアロックの技術とミネベアミツミの技術で何か一緒にできないかという話が立ち上がったのがきっかけでした

株式会社ユーシン:自動車部品、産業機械部品、住宅製品等の開発・設計・製造を行うメーカー。ミネベアミツミの完全子会社。

技術の融合が最初のテーマだったのですね。
ブレスト当時のイメージ
我々(ミネベアミツミ)にはドアロックの知見がありませんでしたから、さまざまなメンバーでブレストを行うところから始めました。ユーシン・ショウワのメンバーはもちろん、機構部品事業部やIoT関連部署のメカ・回路・ソフトのエンジニア、プログラマやマーケティングにも入ってもらい、どういう機能があったら嬉しいか付箋に書き、壁にぺたぺた貼って……それから、例えば『父・母・子』のような家庭をペルソナに設定し、こういう時にこんな問題が起きるだろうからこういう機能を盛り込もう、というアプローチも試しました
ブレストではどのような意見が出たのでしょうか?
これは後の開発でもこだわった点なのですが、スマートフォンを持っているだけでドアに近付くとロックが解錠されるハンズフリー解錠は、本製品での重要な機能との意見が挙がりました
確かに、仕事や買い物から帰ってきて、荷物が多い状態でカギを鞄やポケットから取り出すのは手間ですよね。
荷物が多いと解錠が大変……
荷物が多いと解錠が大変……
その手間をなくしたかったんです。ハンズフリー解錠はドアに着く少し前にロックが解錠されていないとダメなんですが、歩く速度は人それぞれ違いますので、まず人間が1秒2秒でどれくらいの距離を歩くか調査しました。それから、一戸建てとマンションではドアロック周辺の構造も異なりますよね。最初はドアロックとスマートフォンの間でBluetoothが繋がったらすぐにロック解錠のコマンドを投げるようにしていたのですが、それだと障害物の有無によってはドアからかなり遠いところでも解錠されてしまう場合があることが分かりましたので、通信強度の閾値を調整したりもしました
自宅の構造や周辺環境は物件によって違いますが、テストはどのように行ったのでしょうか?
開発メンバーのほか、社員にモニターとして実際に自宅に取り付けて使ってもらいました。一戸建てやアパート、マンションなど、検証は構造が異なる物件を選び実施し、延べ百数十戸になります。何か問題が発生した時は自宅を訪問し調査しました。SADIOT LOCKはスマートフォンの位置情報を使用し、自宅の圏内に近づくとBluetoothの接続を試行し接続に成功するとロックを解錠する仕組みなのですが、エレベーターに乗っている間にロックが解錠されてしまったり、マンションで駐車場待ちをしている間や近所のコンビニに寄っている間にアプリの処理がタイムアウトしてしまったりと、実際に使ってみるといろいろな問題が発生しまして……それらを一つずつ潰していきました。その結果、ハンズフリー解錠の際に解錠されるドアロックまでの距離やタイムアウトまでの時間は使用する環境によって最適な値が異なるため、アプリの設定で調整することができるようにもしました
スマートフォンの機種も非常に多いですよね。このテストも大変そうです。
累計50機種以上でテストを実施
累計50機種以上でテストを実施
そうですね。iPhoneとAndroidだけでなく、Androidの機種もたくさんありますし、位置情報を使わないようにしているとか、ユーザーの設定も人によって異なりますから。累計ではモニター、テスターの端末を含めて50機種以上でテストを実施したでしょうか。スマートフォンの機種は毎年増えますので、動作検証は現在も継続しています
自宅の鍵には最高クラスのセキュリティが求められると思います。知らない間に合カギを作られるようなことは起こらないのでしょうか。
詳細は申し上げられないのですが、毎操作毎にスマホとロックの間の双方向での通信だけでなく、クラウドを介したアカウントの認証も必要としており、容易に合カギを作る(コマンドをコピーする)ことはできません。また、クラウドにはロックの位置情報やロックの設置場所に繋がるようなユーザーの個人情報も保存していないため、万が一データが漏洩した際にも第三者に解錠されるようなことはありません
しっかり堅牢性も確保されているということですね。
そういえば、開発メンバーには抜き打ちで第三者機関にセキュリティ評価されていたんですよ
ええ!?
開発メンバーは誰も知らなかったようです。いまだに誰の指示で実施されたのか分かっていません(笑)。もちろん、結果は合格でした
実際に使用された方からの反応はいかがでしたか?
開発中、社員モニターからは、『不要だと思っていたが実際に使ってみるとハンズフリー解錠が想像以上に便利だった』という声がありました。それから、オートロック機能も評判が良かったですね。ただ一時的にオートロックを解除したいというフィードバックがありましたので、ロック本体のみで解除できる機能を実装しました
最後に、SADIOT LOCKの魅力を教えてください。
まずはカラーバリエーションですね。5色を取り揃えましたので、ご自宅の雰囲気にマッチするカラーをお選びいただけます。それから、ドア開閉検知式やタイマー式のオートロック機能。また仮にオートロック機能を使っていない時にカギを閉め忘れても、一定距離以上離れるとスマートフォンにお知らせを送り、その場で施錠することができるようにもしました。あとはこれまでもお話ししましたように、なんといってもハンズフリー解錠機能です。ロックが解錠される距離や仕組みなどこだわって作った部分ですので、ぜひ体験いただき、スマートロックのある生活の便利さを実感して頂けたら嬉しいです

今回ご紹介した製品はこちら

SADIOT LOCK
SADIOT LOCK
SADIOT LOCKは、世界を支える日本の技術で、快適さと安全性どちらもこだわり抜いたスマートロック。
精密部品、半導体、電子制御デバイスをはじめとする先端技術をグローバルに提供し、IoT時代に貢献する「ミネベアミツミ」と、100年以上暮らしの安全を守り続けているカギのスペシャリスト、「ミネベアショウワ」の技術・知見の結晶です。
近づくだけでカギが開くハンズフリー解錠やしめ忘れを防ぐオートロック、合カギのシェアなど、アプリひとつで行える多彩な機能を搭載。スマホを日頃つかわないご家族には、専用リモコンキーもご用意。SADIOT LOCK、Hub、Keyすべてにセキュリティチップを搭載し情報の抜き取りや不正な通信を防ぐ高い堅牢性を備え、サポート体制も充実しています。
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