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Engineer's Voice - 微風センサー

#6微風センサー

微風センサー

人間には感知できないほどの僅かな風速や風向を測定できるミネベアミツミの微風センサー。
半導体技術により実現したこのセンサーの開発について、小型化を目指したきっかけやネーミング秘話、更には本体色が変更となった背景まで、エンジニアに開発当時を振り返ってもらいました。

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「微風センサー」はどういったところに使用する製品ですか?
この微風センサーはその名の通り、わずかな風速(0~3m/s)を測定するためのセンサーです
当社の微風センサーの特長はどのようなところにあるのでしょうか?
風速のみならず、風向も測定できるところです。風がほとんど吹いていない工場、特にクリーンルームの気流モニタリングや空調機の空気の流れの見える化で活躍しています
ヒーターの周りにあるMEMS熱式センサーで風速、風向きを測定する。
図1 ヒーターの周りにあるMEMS熱式センサーで風速、風向を測定する。
斜めから見たイメージ図。ヒーターの周りに4つのMEMS熱式センサーを配置している。
図2 斜めから見たイメージ図。ヒーターの周りに4つのMEMS熱式センサーを配置している。
ところで、「微風センサー」にはどのような半導体技術が使われているのでしょうか?
微風センサー(MMS002)はヒーターの周りにMEMS熱式センサーを配置しており、このセンサーで温度分布を測定して風速、風向きを測定しています。センサーで検出されたアナログ信号は補正パラメータを内蔵したAFEを介してデジタル出力(I2C)されます。そのため外部マイコンは簡単な演算をするだけで風速、風向きを得る事ができます。MEMSチップとAFEはφ20×10.5mmの白色のパッケージ形状になっており、全方向から風を取り込みやすい形状になっています

MEMS:Micro-Electro-Mechanical-Systems(微小な電気機械システム)の略称。「メムス」と読む。

AFE:アナログフロントエンド。一般的にはアンプ、フィルター、A/Dコンバータで構成される。出力を上げたりノイズを除去したりして綺麗な信号に整え、デジタルに変換するための回路。

開発のきっかけは何だったのでしょうか?
元々環境センサーを量産しており、風速や風向を測定する技術のベースはありましたが、人間には分からないくらいの風の流れをセンサーを使って見える化できたら面白いんじゃないか……というところから始まりました。製品化には5年以上かかったと思います
これまでとは比べものにならないくらい僅かな空気の流れを捉えるということだと思いますが、かなり苦労したのではないでしょうか?
そうですね。微風を見える化するための高感度なMEMSチップの開発、特に正確な風速、風向を測定するためのMEMSチップの構造の設計には本当に苦労しました
「微風センサー」というネーミングは分かりやすくていいですね。
最初はかなり悩みました。社内でもメンバーで議論し、風量センサーや気流センサーなどいろいろな案が出ましたが、どれも普通の風のイメージがありますし、我々が今やりたいのは人が感じないような僅かな風の流れでしたので……。最終的には、そうだ、微風センサーにしよう!の一言で満場一致で決まりました
色を黒から白に変えると聞いたのですがなぜでしょうか?
壁に付けた時に虫に見えたので、黒はやめようよ、と……。何色にするか検討しましたが、一般的に天井の色は白が多いので、目立たないように白に変更することにしました
見たところ随分小さいんですね。
実はほぼ1円玉と同じ直径なんですよ
なぜそこまで小さくしようとしたのでしょうか?
他社にはないような、小型の風速、風向センサーを作りたいと思い、ターゲットを1円玉にしました
小型化できたポイントは何だったんでしょうか。
MEMSの特長でチップが小さいことが最大のポイントだと思います。お陰でパッケージも小型化ができました
このセンサーを実際に設置して使うためには他に何が必要なのでしょうか?
センサー単体からはI2Cのデジタル信号が出ていますので、信号を読み取り処理を行うマイコンが必須となります。また、すぐに風の見える化を実現したい方のために、マイコンが内蔵されたデモキット(無線モジュール)も用意しました。デモキットと専用ソフトウェアを使えば風の見える化は簡単に実現できます 。専用ソフトウェアはAndroid版があります。また、Arduino向けの評価キットも用意しています
ソフトウェアの提供は可能ですか?
はい、ソフトウェアは提供しております。Androidで風の見える化がすぐにできます

※Androidのタブレットはお客様でご用意していただく必要があります。

クリーンルーム内の空気の流れの可視化にも
とても導入しやすいセンサーなんですね。これからどんな人達に使って頂きたいと考えていますか?
空気の流れを見えるようにしたいと思っている人達は多いのではないかと思います。たとえば、クリーンルームの中の空気の流れがどうなっているか、それが見えればダスト対策に役立ちますし、病院や食品工場といった衛生面を重視する施設や実測値が必要となる場面でもお役に立てるかと思います。また自動車内の空気の流れを実測したいなどシミュレーション精度の向上に寄与できると考えます。このセンサーは非常に小型であるため場所を選ばずにピンポイントで測定したい箇所の気流を計測することができます。ぜひお試しください

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微風センサー
微風センサー
本製品は、風速に比例するX,Y軸のセンサ出力及び、温度センサ値をデジタル(I2C)出力する微風センサです。独自の高感度素子をセンサに採用しており、0~3m/sの微かな風の流れを検知可能です。AFE内部にセンサ毎の風速補正パラメータを内蔵しており、本製品データからホストとなる外部マイコンで簡単な演算をするだけで、風速・風向データを得ることができます。
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