トランスミッターとは?
種類ごとの特徴と使われ方を解説

トランスミッターは、センサーなどから得られる測定値を信号として処理し、制御システムやモニタリング装置に適した形式にして送信する装置で、工場の生産ラインや化学プラント、自動車製造など、さまざまな分野で欠かせない存在となっています。
この記事では、トランスミッターの種類や特徴のほか、具体的な使われ方を解説します。
1. トランスミッターは信号を変換する装置
トランスミッターは、アナログ信号をデジタル信号に変換、あるいはデジタル信号をアナログ信号に変換し、必要に応じて信号を増幅して送信する装置です。トランスミッターの主な役割を、下記にまとめました。
< トランスミッターの主な役割 >
- 信号やデータを受け取る
- 送信可能な形式に変換する
- 必要に応じて信号を増幅する
- 有線または無線を通じて送信する
例えば、音声のアナログ信号をデジタル信号に変換して電波として送信したり、圧力センサーの測定値をデジタル信号に変換し、遠隔地に送信したりする役割を持っています。
身近なものでは、車載用FMトランスミッターが挙げられます。スマートフォンや音楽プレーヤーなどの音声をFM電波に変換し、カーオーディオで受信して再生することが可能です。
■車載用FMトランスミッターの仕組み

産業分野では、センサーなどによる測定値を信号に変換し、制御システムやモニタリング装置に適切な形式で送信する重要な装置として使用されています。トランスミッターは微弱な信号の増幅と変換ができるため、ひずみゲージ式センサー(ロードセルなど)の非常に微弱な電気信号でも増幅し、利用できるのです。
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2. トランスミッターの主な種類と特徴
トランスミッターは、用途に応じていくつかの種類に分けられます。ここでは、主なトランスミッターの種類とその特徴について解説します。
計量トランスミッター
計量トランスミッターは、主にウェイトチェッカーなどの重量を測定する機器で使われる装置です。ウェイトチェッカーに搭載されたロードセルから得られる微弱な電気信号を、計量トランスミッターが変換・増幅して、制御システムに適した形式で送信します。ロードセルの微弱な信号をノイズの影響を受けずに増幅し、長距離伝送しやすくするために欠かすことはできません。
計量トランスミッターは、主に工場の計量システムや物流分野において、製品の重量を正確に測定する際などに活用されています。
トルクトランスミッター
トルクトランスミッターは、回転軸にかかるトルク(ねじり力)を測定する過程で必要な装置です。トルクセンサーが測定したトルクをデジタル信号として処理し、リアルタイムで計測や記録ができるようにします。
トルクトランスミッターは高精度な測定と迅速なデータ処理が特徴で、自動車のエンジン、トランスミッション、パワーステアリングなど、さまざまな部分でトルクを測定・制御するために活用されています。
圧力トランスミッター
圧力トランスミッターは、センサーが測定した流体やガスの圧力を電気信号に変換する装置です。この装置の主な特徴は、測定した圧力を電気信号に変換し、離れた場所に情報を送信できることです。
圧力トランスミッターは、化学プラントや上下水道システムの圧力監視などに広く使用されています。例えば、化学反応器内の圧力変化を監視したり、パイプラインの圧力を管理したりするのに適しています。
流量トランスミッター
流量トランスミッターは、センサーが測定した流体(液体やガス)の流量データを変換し、制御システムやモニタリング装置に送信する装置です。この装置の主な特徴は、さまざまな種類の流体に対応し、広範囲の流量を高精度で測定できることです。
流量トランスミッターは、化学工場で流体の流量を正確に管理したり、上下水道システムで流量を監視したりといった場面で広く使用されています。
3. 場所に応じたトランスミッターの使われ方
トランスミッターは、さまざまな産業分野で重要な役割を果たしています。ここでは、トランスミッターがどのような場所でどのように使われているかを見ていきましょう。
食品工場
食品工場では、品質管理と生産効率の向上のために、さまざまなトランスミッターが使用されています。
・計量トランスミッター
計量トランスミッターは、原料の調合や製品の包装といった工程で欠かせません。また、流量トランスミッターは、飲料やスープといった液体の製造ラインで、流量を正確に管理するのに使用されます。これらによる精密な計量により、製品の品質を維持するとともに、原材料の無駄を最小限に抑えることが可能です。
・圧力トランスミッター
圧力トランスミッターは、ボイラーや調理釜の圧力を監視するのに使用されます。これは、食品の調理プロセスを適切に管理し、製品の品質と安全性を確保するために重要です。
例えば、缶詰製造時の殺菌プロセスには適切な圧力の管理が不可欠であり、圧力トランスミッターが重要な役割を果たします。
自動車製造
精密さと効率性が要求される自動車製造では、さまざまなトランスミッターが重要な役割を果たしています。
・トルクトランスミッター
トルクトランスミッターは自動車自体に組み込まれるほか、エンジンやトランスミッションの性能を評価する工程にも欠かせません。これにより、エンジンの出力特性やトランスミッションの効率を正確に測定し、車両の性能向上に貢献します。
・圧力トランスミッター
圧力トランスミッターは、燃料供給ラインやエアコンシステムの圧力を管理するのに使用されます。燃料システムでは、適切な圧力管理が燃費や排出ガスの制御に直結するため、圧力トランスミッターの役割は重要です。エアコンシステムでも、冷媒の圧力を適切に管理することで、システムの効率と耐久性を向上させることができます。
・計量トランスミッター
計量トランスミッターは、部品重量の計量に利用されます。自動車製造では、車体の重量バランスが走行性能や燃費に大きく影響するため、各部品の重量管理が必要です。計量トランスミッターを使用することで部品の重量を精密に測定すれば、品質管理を徹底できるでしょう。
化学工場
化学工場では、安全性と生産効率の両立において、各種トランスミッターが重要な役割を果たしています。
・圧力トランスミッター
圧力トランスミッターの主な使われ方は、反応器や配管内の圧力の監視です。化学反応プロセスでは、圧力管理が反応の進行や安全性に直結するため、圧力トランスミッターを活用した常時監視が欠かせません。
・流量トランスミッター
流量トランスミッターは、液体やガスの流量を正確に測定するのに使用されます。化学プロセスでは、反応に必要な原料の供給量を厳密に制御する必要があり、流量トランスミッターがこの役割を担います。また、生成物の収率を最適化するためにも、流量の精密な制御が重要です。
・計量トランスミッター
計量トランスミッターは、原料や製品の重量を計量するのに使用されます。化学工場では、原料の配合比率が製品の安全性に直結するため、高精度な計量が要求されます。計量トランスミッターを使用することで原料の使用量を最適化し、製品の品質を一定に保つことが可能です。
3. トランスミッターの導入をお考えなら、ミネベアミツミにご相談を
トランスミッターは、産業界において不可欠な装置といえるでしょう。
ミネベアミツミでは、ひずみゲージ式センサ/トランスデューサ(ロードセル、圧力計、トルク変換器、変位計等)用の、高精度のトランスミッターを開発しています。確かな技術と品質で、あらゆる計測・計装のニーズにお応えする計測機器のご提案が可能です。
ミネベアミツミでは「計装用機器セレクションガイド」というウェブサイトをご用意しており、トランスミッターやインジケータなどの計装用機器の選定をサポートします。なお、作業環境に応じたカスタムも行っています。
トランスミッターの導入をお考えならミネベアミツミにご相談ください。
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