MinebeaMitsumi Bearings Room

ベアリングは多くの機械に欠かせない部品であるものの、実際に動いているところを目にすることはほとんどありません。本記事では、普段は目に触れることのないベアリングに焦点を当て、その概要や求められる役割について解説します。また、ベアリングが私たちの暮らしの中でどのように活用されているのか、その主な用途についてもあわせて紹介します。

ベアリングとは?

ベアリングとは、Bear(意味:支える)の名詞形Bearingを語源とし、日本語では軸受と呼ばれます。主に機械などの固定部と回転部との間に組み込まれており、ベアリング内部に転がるもの(玉やころ)や潤滑剤を加えることで摩擦を減らして回転を滑らかにしています。

ベアリングは多くの機械に使われているため、用途に合わせて種類や構造もさまざまです。風力発電機に使用される大型のベアリングから、外径わずか1.5mmの世界最小ベアリング*まで、多種多様なベアリングが見えないところで私たちの暮らしを支えています。

2015年時点 当社調べ

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ベアリングの役割

ベアリングには、大きく2つの役割があります。1つ目の役割は「摩擦を減らして回転を滑らかにすること」です。回転する軸と、それを支える部分には、摩擦が生じます。摩擦には運動を妨げる性質があるため、その影響を受けたままスムーズに回転させるには大きなエネルギーが必要です。ベアリングを用いることで、回転時に発生する摩擦を減らし、少ないエネルギーで滑らかな回転を実現することができます。

2つ目の役割は「回転する軸を正しい位置に保つこと」です。滑らかな回転だけでなく、回転軸を支え、正しい位置に保つことも、ベアリングの重要な役割です。回転する際、軸には大きな負荷がかかります。軸が安定しないまま回転すると、周囲の部品を傷つけたり、回転軸が壊れたりする可能性が高まります。ベアリングで回転軸を正しい位置に保持することで、安定的かつ長期間にわたって機械の使用が可能になります。

この2つの役割以外にも、ベアリングはトルクの抑制、機械の長寿命化や故障の軽減といったさまざまな役割を担っています。ベアリングは大きな荷重を支えながら転がり続けるため、正常な条件で使用されていても寿命は避けられず、また寿命を迎えるより先に不具合を起こす場合もあります。ベアリングの性能が向上することは、結果的に機械の長寿命化や故障の軽減に寄与します。

また近年では、航空宇宙業界や医療機器業界など厳しい状況下でも動作する特殊なベアリングの開発も求められています。さらに小型化、高速化、低騒音化、環境問題の観点から省エネ・省資源に対応したベアリング、産業オートメーションに応えるベアリングなど、その要求は年々複雑化するばかりです。今後も機械の進化に合わせて、ベアリングの性能向上への期待はますます高まっていくことでしょう。

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ベアリングの用途

ベアリングは製品をスムーズに作動させるために必要不可欠な部品です。多くの機械産業で使われていることから、ベアリングは「機械産業のコメ」とも呼ばれています。ここではベアリングが使われている代表的な製品を紹介します。

自動車

エンジンやコンプレッサー、油圧装置といった駆動装置はもちろん、ウインカーやカーエアコンなどの電装品、さらにはドアや内装品まで、さまざまなパーツの駆動用モーターにベアリングが採用されています。自動車1台に使用されるベアリングは100~150個にものぼります。

航空機

エンジンやフライトコントロール関連の部品など、航空機には数多くのベアリングが使われています。航空機に使用する場合、温度変化や気圧などの厳しい環境変化に対応できる高度な耐久性や安全性が要求され、納品する航空宇宙メーカーの厳しい認定取得が必要となります。

家電製品や家庭用品

冷蔵庫、掃除機、エアコン、洗濯機、扇風機、換気扇など、モーターで動く製品にベアリングは欠かせません。ブラシレス(BLDC)モーターや、パソコン・OA機器などの内部を冷却するファンモーターなど、さまざまなモーターの心臓部にもベアリングが使われています。また、扉や蓋を開閉させるためのヒンジ(蝶番)がついている窓枠や引き出し、釣り用のリールなど電気を使わない製品にもベアリングが使われています。

玩具やスポーツ

一時期流行した「ハンドスピナー」にもベアリングが使われています。中心軸にボールベアリングを組み込むことで、ハンドスピナーの長くスムーズな回転が実現しています。その他、競技用ヨーヨーや四輪駆動のプラスチックモデルにもベアリングが使われており、回転やスピードを競う上でも高性能なベアリングは欠かせません。また、新たなスポーツとして注目を集めるスケートボードにもベアリングが使われており、特にトップアスリートたちが使うスケートボードでは、スピードが落ちにくく高難度の技に挑戦できるようベアリングも工夫されています。このように、身近な玩具やスポーツ器具にも高精度なベアリングが活用されています。

社会を支えるさまざまな機器

自動車、航空機の他にも、電車や船といった交通機関、近年ではドローンにも使われるなど、ベアリングは社会において重要な役割を担っています。また、身近なところではMRIやレントゲンなどの医療機器、エレベーター、エスカレーターなどの設備にもベアリングが活かされています。

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