- ミニチュア・小径ボールベアリング
効率的な温度調整に最適なボールベアリングソリューション
課題解決事例
電動コンプレッサー用ベアリング
効率的な温度調整に最適な
ボールベアリングソリューション
近年急速に普及が進んでいるハイブリッド車や電気自動車は車室内の空調のみならず、リチウムイオン電池の温度調整など、多岐にわたる熱マネジメントを必要としています。
熱マネジメントに必要不可欠な高い効率を持つ電動コンプレッサに当社のボールベアリングが使用されています。
課題
ハイブリッド車や電気自動車の普及により、カーエアコン用コンプレッサーは、エンジン動力をタイミングベルトを介して駆動する斜板式からモータで駆動するスクロール式に変わり、より低振動で効率的な冷媒の圧縮が求められます。
解決方法
当社のボールベアリングは従来のラインナップからベアリングサイズのラインナップ拡大を図り、電動コンプレッサの回転抵抗を最小限に抑えてスムーズな回転を実現します。
また、当社のリテーナリングはスクロールの動きを高い精度で支えることができます。
カーエアコンの仕組みとコンプレッサーの役割
カーエアコンは、夏の暑い時期だけでなく、雨の日や冬の寒い日など、さまざまな気象条件に対応して車室内の温度を調節する重要な機能を持っています。特に、窓ガラスの曇りを除去するデフロスター機能は、安全運転に欠かせない要素です。カーエアコンの冷房機能は、「冷凍サイクル」の原理を応用しています。この冷凍サイクルは、気体や液体が圧縮されると温度が上昇し、圧縮状態から急激に開放(膨張)されると温度が低下するという物理的な性質を利用しています。
カーエアコンに用いられる冷凍サイクルは、「圧縮」「凝縮」「膨張」「蒸発」の4つの工程を冷媒に繰り返し行わせることで成り立っています。まず、コンプレッサーが冷媒を圧縮し、高温高圧のガスに変えます。次に高温高圧のガスはコンデンサーに送られ、外部の空気と熱交換を行いながら冷却、凝縮されます。更に低温高圧の冷媒は膨張弁を通過する際に急激に圧力が下がることで更に低温になり、エバポレーターに送られ、車室内に送風する空気と熱交換(蒸発)を行います。この一連のサイクルを繰り返すことで、車室内の温度を効率的に調節することができます。
コンプレッサーは、この冷凍サイクルの中で「圧縮」の役割を担っています。コンプレッサーが冷媒を圧縮することで、高温高圧のガスが生成され、次の工程である凝縮が可能になります。コンプレッサーの性能が冷凍サイクル全体の効率に大きく影響するため、非常に重要な部品です。

自動車の電動化と電動コンプレッサー
従来のカーエアコンのコンプレッサーは、エンジンの動力をベルトなどで介して回転させていました。しかし、エンジンの小型化や燃費向上の要求が高まる中で、エンジンの動力を利用した従来型コンプレッサーでは低燃費化の実現が難しくなりました。特に、ハイブリッド車ではエンジンの作動時間が短くなるため、従来型コンプレッサーではカーエアコンを使用できない時間が発生することが問題となりました。
電気自動車(EV)になると、そもそもエンジンを搭載していないため、コンプレッサーの電動化がカーエアコンの使用に必要不可欠となります。電動コンプレッサーは、エンジンの動力に依存せず、バッテリーから供給される電力で動作するため、エンジンの作動時間に関係なく安定してカーエアコンを使用することができます。
さらに、電動コンプレッサーは車室内の温度調節だけでなく、高温になりやすい電池やその他の車載電子機器を冷却するための熱マネジメントにも重要な役割を果たしています。電動化が進む自動車において、電動コンプレッサーは不可欠な部品となり、その役割の幅はますます広がっています。
ICE

- 車内冷房
HEV

- 車内冷房
- 車内暖房補助
- リチウムイオン電池の温度調整
- 駆動用モーターの温度調整
- ECUの冷却
BEV

- 車内冷房
- 車内暖房
- リチウムイオン電池の温度調整
- 駆動用モーターの温度調整
- ECUの冷却
電動コンプレッサーとボールベアリング
電動コンプレッサーには、固定スクロールと可動スクロールによって構成されるスクロール式コンプレッサーが採用されています。このスクロール式コンプレッサーは、連続した圧縮と吐出を行うことができ、優れた効率を実現します。しかし、固定スクロールと可動スクロールの隙間を極めて小さくする必要があり、高い加工・組立精度が求められます。このため、モーターの軸受にはボールベアリングが使用され、可動スクロールの運動を高い精度で支えることができます。ボールベアリングは、摩擦を最小限に抑え、スムーズな回転を実現するために不可欠な部品です。
また、運動する可動スクロールの自転を防ぎ、優れた圧縮効率を維持するために、ボールベアリングの部品を転用した専用のリテーナリングが使用されています。リテーナリングは可動スクロールを適切な位置に保持し、安定した運動をサポートします。
当社のボールベアリングとリテーナリングは、これまで培ってきた超精密加工技術によりボールが転がる溝の粗さを向上させている他、極めて高い真円度となっています。これにより電動コンプレッサーの優れた圧縮効率の実現に貢献しています。

ボールベアリングに関するご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。