MinebeaMitsumi MEMS Room

MEMSと従来の半導体との違い

「MEMS*」は構造が立体的で可動部を有していることが、集積回路をはじめとした通常の半導体との大きな違いです。
MEMSは半導体と機械構造を組み合わせて誕生し、産業の発展に寄与してきました。ここでは集積回路とMEMSの違いや、MEMSの歴史について紹介します。

*MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)とは、半導体技術を用いて電子回路と微細な機械構造を1チップに集約したシステムです。量産性・小型化・省電力性に優れ、スマートフォンのセンサーやマイク等に幅広く応用されています。

MEMSとは

集積回路(IC・LSI)との違い

MEMSやIC・LSIといった集積回路は同じ半導体製品に分類されます。MEMSは基本的に1つの基板の上に電子回路と機械要素を持った立体構造のデバイスです。
一方でICやLSIは機械要素をまったく持たず電子回路を集積化したもので、MEMSと比較してもトランジスタなどの素子数が圧倒的に多く、電気信号を処理することに特化しています。

ヒトに例えて言うと、IC・LSIが情報機器の頭脳を担っているとすれば、MEMSは受け取った情報を脳に伝えるセンサー(神経)や、情報をもとに外部に働きかけるアクチュエーター(筋肉)のような働きをしているといえます。

集積回路

例えば、「圧力センサー」の場合、圧力センサーとしての役割を持つ「MEMSチップ」と、マイコンのADC機能にあたる「センサ制御IC/AFE」が一緒に内蔵されている構造をしています。

  • 1. 可動部:ダイアフラム(シリコンの薄膜)

    【配置場所】パッケージ内部の「MEMSチップ」の表面(または裏面)にあります。

    【構造・特徴】シリコン基板を極限まで薄く掘り込んで作られた、ダイアフラム(太鼓の膜のような薄膜)の構造です。

    【機能・役割】空気や気体の圧力を受けて、物理的にパタパタと「たわむ(変形する)」という、まさに動く(可動する)部分になります。

  • 2. 検出部:ピエゾ抵抗(ブリッジ回路)

    【配置場所】上記で説明した「可動部(ダイアフラム)の上」に直接作り込まれています。

    【構造・特徴】ダイアフラムの上に配置された「ピエゾ抵抗素子」と、それらを繋いだ電気回路(ブリッジ回路)です。

    【機能・役割】ダイアフラムが圧力でたわむと、このピエゾ抵抗にギュッと力が加わり(応力)、抵抗値が変化します。その抵抗の変化を「ごくわずかな電圧の変化(差電圧)」としてキャッチし、回路部へ伝える役割を果たします。

  • 3. 回路部:センサ制御IC(AFE / A-Dコンバータ)

    【配置場所】MEMSチップと同じパッケージ(モジュール)の中に配置されています。

    【構造・特徴】「高性能ΔΣ(デルタシグマ)ADC」などを搭載した、信号処理専用の電子回路(IC)です。

    【機能・役割】検出部(ピエゾ抵抗)から送られてくるごく微小な電圧の変化を、きれいに増幅してデジタル信号に変換する「制御IC」です。また、この回路部が「温度によるズレ」や「個体差」を補正し、マイコンがそのまま読み取れるデジタルデータ(I2CやSPI形式)として機器のメインCPUへ出力します。

圧力センサー

ダイヤフラムが圧力でたわむことでピエゾ抵抗に応力が発生し抵抗値が変化。差電圧が変化します。このアナログ変化をセンサー制御ICでデジタル変換・処理することで、高精度なアナログ出力を容易に得られます。

お問い合わせ

アナログ半導体とデジタル半導体の違いとは?

半導体には大きく分けてアナログ半導体とデジタル半導体の2種類があります。この2つの違いには、アナログ半導体は連続的な電気信号の処理や制御をし、デジタル半導体は電気信号の「0、1(ありなし)」を判断するという違いがあります。

アナログ半導体とは

アナログ半導体は主に人と機械を結ぶインターフェースとして活用されており、音量・光量・温度などのような、連続したアナログ情報を読み取って、きめ細かく制御・処理します。
このようなデータの多くはアナログであり、電気回路上ではアナログ回路が不可欠です。しかし、アナログ回路は近くにあるノイズの影響を受けて数値に狂いが生じたり、回路自身がひずみを発生してしまうといったデメリットがあります。

デジタル半導体とは

デジタル半導体は、0か1のみを扱うデジタルの処理です。最大の特徴は、ハードウェアだけでなくソフトウェアのような数値的な処理ができる点です。ソフトウェア側の処理によって柔軟に機能の追加や修正ができ、簡単に高速通信やデータの保存・圧縮、さらに誤りの訂正などを行うことができます。

一方でサンプリングしたデータ(“0”か“1”)しか扱えないという面もあるため、狙いどおりの機能を実現するには、連続した数値を扱えるアナログ半導体との組み合わせが重要だといえます。

アナログとデジタルの融合

別の働きをもったアナログ半導体とデジタル半導体ですが、同一パッケージ内で融合させることにより、MEMSセンサーで得たアナログデータをデジタル変換することも可能です。また、使用用途やご要求により、アナログデータをアナログのまま出力することも可能です。

ミネベアミツミではリセットICやLDO、保護ICといったアナログ半導体をはじめ、EEPROM、マイコンなど内蔵したアナログ/デジタルを混載したアナデジ半導体も扱っています。

お問い合わせ

MEMSの歴史

MEMSは集積回路技術を発展させたマイクロマシニング技術と呼ばれる微細加工技術により、チップ上に回路および構造体を形成しています。

MEMSが登場する以前は、電子回路とは別にサイズの大きなセンサーやアクチュエーターを組み合わせて使用していました。部品が大きいと、必然的に製品サイズも大型化してしまう上、製造にかかる手間やコストがあがってしまいます。

しかし、MEMSの登場により製品の小型化ができ、さらに量産性の高い部品が製造できるようになったことで、効率性も大幅に向上しました。

「半導体とマイクロメートルサイズのセンサーやアクチュエーターといった機械構造が組み合わさったもの」と聞くと、ハイテクで最近になって登場したもののように感じられます。しかしその歴史は古く、諸説はあるものの、1960年代に確立された結晶異方性エッチングや陽極接合等の基本技術がベースとなっています。

1970年代頃には圧力センサーやガスの分析装置(ガスクロマトグラフィ)が開発されました。さらに1980年代に入ってからはパソコンの普及にともなうインクジェットプリンターの需要拡大により、インクを吐出するヘッド部分やプロジェクターの部品としてMEMSの技術が進歩し、普及していきました。
最近ではスマートフォンの登場によって、マイクや加速度センサーなどに活用されることで、ますます存在感を増しています。

よくあるご質問(FAQ)

QMEMSと一般的な集積回路(IC・LSI)の違いは何ですか?

A

メカニカル な「可動部(機械構造)」があるかないかです。

IC・LSIは電気信号の処理(頭脳)に特化していますが、MEMSは1チップ上にセンサーやアクチュエーターなどの動く部品(神経・筋肉)を一体化させている点が異なります。

Qアナログ半導体とデジタル半導体の違いは何ですか?

A

電気信号を連続的に扱うか、連続性を持たない離散的な信号(0と1で表現)で扱うかが異なります。

アナログ半導体は温度や音量などの「連続的な情報」をそのまま出力します。デジタル半導体は、情報も元に処理しやすい数値、時間でサンプリングを行い、取り扱いやすい値にして処理をすることにより、データの保存・高速通信を行います。

Q従来の半導体製品ではないセンサーと比べたMEMSセンサーのメリットは何ですか?

A

デバイスの「劇的な小型化」と「優れた量産性」です。

従来のように別々の部品を組み合わせる必要がなく、半導体技術で1つのチップに微細集約できるため、製品の省スペース化と製造コスト削減を同時に実現できます。

お問い合わせ

Page Top