家電業界におけるMEMSの活用
近年、家電は外出先から操作ができるなど、スマート化が進んでいます。ロボット掃除機や、インターネット上の専用サイトからレシピをダウンロードできる電子レンジなど、新製品の開発から従来製品の付加価値創出にまで、MEMSデバイスは活用されています。
さまざまな家電の中にあるMEMSセンサーの種類と役割
家電といっても種類が多いですが、MEMSの活用範囲は白物家電から、テレビやオーディオ機器のような黒物家電、さらには最先端のロボット掃除機、ゲーム機まで幅広く使用されています。
活用されているMEMSセンサーの種類も多く、圧力センサーやIRセンサー、ジャイロセンサーなど多岐にわたります。
家事を便利にするMEMSセンサー
MEMSセンサーを搭載する電化製品は、日常的に使用する家電にも多数使われています。例えば洗濯機やコーヒーメーカーには圧力センサーが搭載され、水位変動を読み取り機械を動作させています。レンジフードなどの目詰まりの検知にフローセンサーが活用され、フィルター掃除に利用されています。
また、ロボット掃除機にも多数のMEMSセンサーが搭載されています。初期のロボット掃除機は障害物にぶつかることも多かったですが、最近は段差や障害物をしっかりと検知し、隅々まで掃除できるようになりました。この障害物の検知にはIRセンサーが活用されています。
快適な居住空間を作るMEMSセンサー
私たちの暮らしを快適にしてくれるさまざまな家電機器には、複数のMEMSセンサーが使用されています。例えばエアコンには、人の動きや温度分布を検知するIRセンサーや、温度・湿度を検知するセンサーなどが搭載されており、これらのセンサーで得た情報から快適な居住空間を作ることに貢献しています。
空気清浄機などに使用する臭気センサーは、室内のさまざまな「におい」を検知し、その状態をランプの点灯などにより通知します。この臭気センサーにもMEMS技術が活用されています。
暮らしを豊かにするMEMSデバイス
家庭用ゲーム機にも数多くのMEMSデバイスが使用されています。ゲーム機のコントローラーにはMEMS加速度センサーが使用されているものがあり、コントローラーを持っている人の腕の動きを読み取り、画面上のキャラクターやオブジェクトを動かします。また、手元で音声チャットができる機器には、MEMSマイク・MEMSスピーカーなどが使われています。
徐々に普及が進んでいるVRゴーグルにも、MEMSデバイスは複数使用されています。例えばジャイロセンサーは、ゴーグルを装着している人の向きを検知して見えている景色を動かし、ヘッドホン一体型の場合は、MEMSスピーカーを使用しています。ゲーム機器には最先端のテクノロジーが詰め込まれています。
また意外な所では、電子たばこにMEMSの圧力センサーが搭載されており、さまざまなMEMSデバイスが暮らしに潤いを与えてくれる製品を支えています。
家電業界で活用するミネベアミツミのMEMSデバイス
ミネベアミツミでは温度を測るIRセンサーや異常を検知する圧力センサー、風量や風速を測るフローセンサー・微風センサーなど、家電に活用できる多様なMEMSデバイスを提供しています。小型で量産性に優れるMEMSの特性を生かし、さまざまな家電の進歩に貢献しています。
温度を見張る「IRセンサー」
電子レンジにはIRセンサーなどの温度センサーが使用されています。IRセンサーは赤外線により庫内の温度と食材の表面温度を測り、食材の温めムラが少なくなるよう調整しています。温めムラを防ぐためには複数のIRセンサーを組み合わせることが重要ですが、MEMS IRセンサーの特性を活かして、温めムラの低減に貢献しています。
ミネベアミツミのIRセンサーは、業界最高クラス*の低ノイズ性能を持っているため、庫内の温度を細かく見ることができ、精度の高い温めを実現できます。
また冷蔵庫でも、庫内の温度を一定に保ったり、食材の急速冷凍、さらには自動製氷機で氷の出来具合を見るといった用途で活用されています。このような用途でミネベアミツミのIRセンサーは活用が期待されています。
当社調べ、2023年1月時点
異常を見張る「圧力センサー」
家電製品におけるMEMS圧力センサーは、水や気体の量の測定に使われています。
一例を挙げると、洗濯機やバスタブの水位の増減による配管内の気体の圧力変化を検知することで、水量を把握し、既定値・異常値を検出することに役立てられています。
ミネベアミツミのMEMS圧力センサーは、-50kPa~50kPaという領域を測定できます。従来の圧力センサーよりも精度の高い測定ができるため、正確性が求められるような用途に適しています。
風速を検知し省エネを実現する「フローセンサー」と「微風センサー」
エアコンに使用されるフローセンサーは測定した風量に応じてダンパーを開閉し、風量を調整しています。
ミネベアミツミのフローセンサーは、MEMSチップ上のヒーターの熱分布変化を気体の流量、または流速に換算して出力します。ラインナップには差圧で風量を測るタイプ、直接配管を接続して風量を測るタイプ、さらに配管内に設置して風速を測るタイプがあり、用途に応じて適切なタイプを選べます。さまざまなタイプのセンサーを使い分けることで快適な生活環境の提供を実現し、効率的なエネルギー使用による省エネ化にも貢献します。