フローセンサー
フローセンサーは、気体の流速や流量などを正確に測定するためのセンサーです。その種類には流量センサーや流速センサー、さらに風速と風向きをセンシングできる微風センサーなどがあります。ここでは、ミネベアミツミのフローセンサーの特徴について紹介します。
フローセンサーとは
フローセンサーとは、液体・気体などの流速や流量を検出するセンサーのことで、検出方法には接触式、非接触式の2種類があります。接触式は直接測定するので原理がシンプルで精度良く測定できますが、設置する場合は事前設計や既存施設の工事が必要となります。一方で、非接触式は直接触れないため測定方式によっては誤差が大きくなる半面、取り付けが簡単で既存施設でも手軽に測定を開始できます。
MEMSを使ったフローセンサー
MEMSを使ったフローセンサーは熱電対(サーモパイル)に伝わる熱により、起電力が発生する効果を利用しています。気体の流れによりヒーターからの熱分布が変化することで、上流側と下流側に伝わる熱に差が発生して起電力が生じます。
この発生した起電力に温度補正と直線補正を行ってから、流量として出力しています。
フローセンサーの活用事例
フローセンサーは気体の流量や流速測定に使用します。一例を挙げると、家庭用燃料電池システム(空気、ガス流量計測)や人工呼吸器などがあり、これらの機器に流れる風量や風速を検知し、気体の制御・調整をする役割を持ちます。
ミネベアミツミのフローセンサー
ミネベアミツミのフローセンサーは、ゼーベック効果(Seebeck effect)*によって温度差を電圧に変換します。その電圧をマイコンなどのデジタル信号処理デバイスと繋がっているΔΣ型ADコンバータを用いてA/D変換して流量・流速を測定します。
ゼーベック効果とは、2種類の金属線の両端をつないで輪の形にして、つないだ部分に温度差を与えると電位差が生じる現象のことです。
特徴
ミネベアミツミのフローセンサーは小型・デジタル出力が特徴です。小型化によりお客様の商品設計におけるセンサーの設置自由度が大きく、かつデジタル出力により高速応答、高精度、高分解能を実現しています。このフローセンサーは3つのタイプがあり、上流と下流の圧力差を測定するセンサー、流量を測定するセンサー、風速を測定するセンサーがあります。風速を測定するフローセンサーは、最大10m/sまでの風速の測定用途に適しています。
また微風センサーは、MEMSチップの上に配置されたヒーターが風速、風向きでできた温度分布をセンサーで測定し、フローセンサーと同じくΔΣ型ADコンバータを用いて電圧をA/Dに変換して出力します。
ミネベアミツミの流量センサーは、搭載する24bit分解能の⊿Σ型ADコンバータによりデジタル値で出力し、応答時間は5msec以下というのが特徴です。インターフェースにはI2Cを採用し、マイコンとの通信を行ないます。
また、微風センサーもインターフェースにはI2Cを採用しており、空気やガスの媒体の向きや流速を測定できます。
I2Cとは同期式シリアル通信インターフェースのことで、シリアルデータ(SDA)信号とシリアルクロック(SCL)信号を使い、マスターとスレーブの役割を明確にわけて通信をします。なお、マスターがSCL信号を生成し、そのマスターが信号の制御を実施しています。
製品紹介
MMS501 | MMS601 | MMS651 | |
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適用媒体 | 空気、天然ガス | 空気 | 空気 |
測定範囲 | -250L/min~250L/min *カスタマイズ可能 |
-500Pa~500Pa/0Pa~+250Pa/-50Pa~50Pa | 0m/s~10m/s *カスタマイズ可能 |
0点精度 | - | ±0.2Pa | - |
スパン精度 | - | ±3%RD | - |
精度 | ±5%RD(10%~25%FS) ±3%RD(25%~100%FS) |
- | ±5%RD(1m/s ≦flow velocity≦ 10m/s) |
電源電圧範囲 | 2.7V~3.6V | 2.7V~3.6V | 2.7V~3.6V |
応答時間[msec] | - | <5 | - |
温度特性 | - | 0.5%RD/10°C | - |
動作温度範囲[deg C] | -20~80 | -20~80 | -10~60 |
分解能 | 24bit | 24bit | 16bit |
インターフェース(出力形式) | I2C | I2C | I2C |
サイズ [mm] | 73.0×24.0×38.0 | 26.0×18.0×24.0 | 20.0×17.0×13.0 |
採用事例
可変風量制御装置(VAV)や家庭用ガス圧力の検知、医療向け人工呼吸器など、さまざまな場所で活用が期待できます。