メタルタイプ
メタルタイプのスフェリカル
主として負荷時は軸受の回転運動をともなわない、いわゆる静荷重下で使用されるため、荷重性能も通常は静荷重に対し見積ります。しかしながらAl-Bz レースを用いたスフェリカルは振動状態や限定された潤滑状態下でも比較的焼付きを起こしませんし、Be-Cu ボールとステンレス鋼レースを用いたスフェリカルは、高荷重下でも非常に焼付きにくく、動荷重性能がすぐれていますので、低速揺動性能の見積もりも必要となります。スチールレースとスチールボールの組み合わせは、揺動荷重よりも静的な荷重性能を重視する場合に適しています。 メタルタイプのスフェリカルの動荷重性能は潤滑状態の影響を大きくうけるため、良好な性能を発揮するために十分な潤滑状態を保つことが大切です。
荷重用語の説明
荷重の負荷方向は、図5 のとおりです。
- 静定格荷重 (STATIC LIMIT LOAD)
- 静的にこの荷重をかけたときスフェリカルの永久ひずみが表5 の規定値を越えない荷重をいい、通常スフェリカルの性能をそこなうことなく適用できる荷重をいいます。
スクロールできます
規定値 |
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ラジアル静定格荷重 | 0.076mm |
アキシアル静定格荷重 | 0.102mm |
- 静破壊荷重 (STATIC ULTIMATE LOAD)
- 静定格荷重の1.5 倍をいい、この荷重を静的にかけた時スフェリカルが破壊しない荷重をいいます。
- 揺動荷重
- 揺動角±10°、速度10cpm、交番荷重状態の揺動試験で、20,000 サイクル後の軸受の摩耗を含めたラジアルすきま値が0.102mm を越えない荷重をいいます。図6 は上記揺動試験における面圧とスフェリカルの寿命サイクルとの関係をあらわしたものです。
荷重性能の見積について
荷重性能W はボールをささえるレースの投影面積S とレースの許容応力σ との積によりW = S × σで決定されます。
- ラジアル投影面積SR
- 図7 の斜線で示された部分をいいます。SR = 0.85 × H × DB で概算できます。ただし、厳密にはレースの内径面に油溝がある場合その分も考慮します。
- アキシアル投影面積SA
- アキシアル荷重は、図8 の斜線部でささえられます。で概算できます。
- 許容応力σ
- 材質及び熱処理状態によって異なります。ミネベアミツミでは各種の試験をもとに表6、表7 に示す許容応力を用いています。
スクロールできます
4130 またはステンレスレース(30-35HRC) |
Al-Bz レース |
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ラジアル静定格荷重 | 620N/mm2 { 63.3kgf/mm2 } | 379N/mm2 { 38.7kgf/mm2 } |
アキシアル静定格荷重 | 551N/mm2 { 56.2kgf/mm2 } | 275N/mm2 { 28.1kgf/mm2 } |
スクロールできます
揺動荷重 |
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Al-Bz レース スチールボール | 193N/mm2{ 19.7kgf/mm2 } |
ステンレスレース Be-Cu ボール | 241N/mm2{ 24.6kgf/mm2 } |