メタルタイプのスフェリカル

定期潤滑を必要とします。これは使用中に減少した潤滑剤を補充し、また劣化した潤滑剤やその中に含まれる金属酸化物等を流出させるためです。
これらのスフェリカルは主として静的な荷重がかかる場合の使用に適します。たとえば、航空機の脚の軸受のように着陸時の大きな荷重がかかる際には静止し、作動時は低荷重であるような場合に有効です。

熱処理された軸受鋼や440C ステンレスのスチールボールと410 ステンレスや4130 合金鋼のスチールレースを用いたスフェリカル
高い静荷重性能を有しており、高荷重下でのひずみが小さいことを要求される場合にも有効です。
Al -Bz レース
振動荷重状態や限定された潤滑状態下でも比較的焼付きにくいという特性があります。ただし、静荷重性能はスチールレースの約1/2程度です。
Be-Cu ボールと17-4PH レースを用いたスフェリカル
十分な潤滑をほどこせば、高荷重・低速揺動下で使用される場合にも有効です。
ローディングスロットタイプのスフェリカル
塑性加工しないためレース、ボールともに硬度を上げることができます。このため耐摩耗性を重視する場合や高荷重下での使用に適し、建設機械の油圧シリンダー等に使用されています。エンジン等の高温環境で使用される場合にはインコネル(INCONEL®)ステライト(STELLITE®)、A286 といった高温クリープ特性のすぐれた耐熱合金が用いられます。また、この種の軸受にはグリースの許容温度範囲を越えて使用されるものが多いため、潤滑にはドライフィルムや銀めっき等の固体潤滑剤が用いられます。

PTFEタイプのスフェリカル

レース内径面にPTFEライナーを接着してあり、ボール球面とPTFEライナー面ですべり運動します。PTFEライナーは自己潤滑性をもつため、グリース等の潤滑剤は不要です。したがって、油分をきらうところや潤滑が困難または不可能な場所での使用に有効です。また、潤滑機構を必要としないためメンテナンスのコストを下げることにも有効です。PTFEタイプのスフェリカルは低速揺動下での使用に適しています。また、振動荷重下でも比較的良好な性能を発揮します。したがって、メタルタイプでは摩擦が大きすぎたり、焼付きや疲れ破損を起こしやすい、摺動面のフレッティングが問題になるといった場合にはPTFEタイプに交換することが有効な対策となります。

2ピースロッドエンド

ボディとボールから構成され、ボディを塑性加工してボールを組み込みます。このためボディ材料は303ステンレスといった冷間加工性のよい材料を使用しており、一般に荷重性能は3 ピースロッドエンドにくらべて劣ります。したがって比較的高い荷重性能を要求される用途には向きませんが、構造が簡単でコストを低く製造できるため一般産業機械の設計的に余裕のある箇所での使用には有効です。又、無潤滑で使用でき、ボディに303、ボールに440C とともにステンレス鋼を用いているため、耐食性にもすぐれ一般用途に巾広く利用できます。

3ピースロッドエンド

ロッドエンドのボディの中にスフェリカルを組み込んで構成されています。ボディ材料としては主としてクロムモリブデン鋼等を用い硬度は35HRC、引張りの強さで980N/mm2{100kgf/mm2} 以上といった強度を有しています。また、スフェリカルのレース材料は用途に応じて最も適したものを選定できるため3 ピースロッドエンドは性能要求のきびしい箇所に広く利用されます。

ボール入りロッドエンド

図3 - ボール入りロッドエンドの構造

ボディの内球面に複列の多数のボールが接して内輪を保持する構造のため荷重性能はすべり軸受タイプに比べ低くなりますが、ころがり接触のため起動トルクが低く、自己調心も可能であるため航空機の操縦系統やロボット等のリンク機構に広く使われています。(図3)

シールドタイプスフェリカル

図4 - シールド・タイプスフェリカルの構造

スフェリカル両端面の面取部にシールをはめ込みシールリテーナーで固定したもので、使用中ゴミ、砂塵その他の汚染物質が進入するのを防止して寿命を向上させることを目的としたものです。材質はシールにシリコン、NBR 等の合成ゴム、シールリテーナーに304 等のステンレス鋼を使用しており、シールリテーナーをレース端面にレーザー溶接で固定します。このタイプは、航空機用として開発実用化されたものですが、その耐久性を生かし建設機械や車両の分野でも採用されるようになってきております。(図4)

ミネベアではカタログ製品以外にもユーザーのご要求に応じ、多くの特殊ベアリングを設計・製造しています。この中には内球面をもったボディやレース、分割ボール、ローディングスロットタイプ(メッサーシュミットタイプ)のベアリング、エンジンマウントベアリング等のように特殊な加工方法や精度管理を要求されるものもあり、その豊富な開発経験と技術力を生かし多岐にわたるユーザーのご要望におこたえしていますので、気軽に当社の支店営業所にご相談下さい。

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