軸受を取付ける箇所の寸法、軸受に期待する性能、使用環境や条件の確認を行います。昨今機器の小型化が進んでおり、構造面から制約を受ける場合が多いですが、要求される性能を長時間維持するために、できるだけ余裕を持った選定をお勧めします。
また、市場性を考慮して、あまり特殊な軸受を選定しないことも重要な要素となります。

機器の構造と機能

機器の構造と機能から軸受の為に使えるスペースを割り出し、軸受の内径・外径・幅の寸法を検討します。

使用環境(温度・湿度・振動・粉塵等)

想定される環境温度・湿度の上限・下限から軸受材料・保持器・潤滑剤等を決めます。振動条件から、予圧・潤滑剤等を考慮し、粉塵の有無からシールド・シール構造を決めます。
なお、運転状態により軸受部の温度は、環境温度より高くなる場合があります。

荷重

軸受に加わる荷重の大きさと位置や方向から軸受の寸法(型式)を決めます。軸受に加わる荷重が大きすぎる場合は、機器の構造(軸受のサイズアップや荷重の低減等)を見直す必要もあります。

軸・ハウジングの寸法と材質

軸・ハウジングの寸法及び材質から軸受の内径・外径・幅の寸法及び公差を決めます。軸及びハウジング材質と軸受材質との線膨脹係数の違いにより、温度変化による軸受内部すきまの変化を考慮する必要もあります。

回転数、回転精度、回転輪

回転数、回転条件(連続/断続/往復回転、内輪回転/外輪回転)、回転精度から軸受の寸法公差・保持器・すきま・予圧・潤滑剤等を決めます。

トルク

トルクには起動トルクと回転トルクがあります。
特に低トルクの要求がある場合には、潤滑剤の種類や封入量・保持器等の検討が必要となります。

音響

低騒音の要求がある場合は、軸受部品や潤滑剤の音響特性を考慮します。また、軸受を使う時の予圧・回転体のアンバランス・共振等、軸受回りの状態にも注意が必要です。

寿命

寿命の定義は、JIS B 1518で公知されている定格寿命がありますが、その他は一概には決まっておらず、使用用途や個々の顧客で要求される性能(音響・トルク・振れ等)の劣化度合に応じて、様々な寿命の定義があります。なお、一般的に寿命には、定格寿命(材料の疲労寿命)、修正定格寿命、機能寿命(音響、トルク、振動等の性能)、潤滑寿命という考え方があります。

規制物質

近年、環境・健康・安全に対して様々な取り組みが行われています。環境や人に有害な物質に対しての規制が行われていますので、法令等に定める規制物質の有無を確認する必要があります。

その他特殊環境

その他の軸受使用環境で、特定の化学薬品・ガス・塩水等にさらされる場合、軸受からの発塵を嫌う場合、軸受内部に通電が予想される場合等、特殊な環境になる場合は注意が必要になります。

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