転がり玉軸受にとって外輪・内輪および玉の材料選択は重要な要素であり、転がり玉軸受の性能に大きな影響を与えます。
転がり玉軸受の外輪・内輪と玉の接触部では、およそ1000MPa以上という過酷な極圧を繰り返し受けることになります。
このような繰り返し応力を受けながらも長寿命が要求されるため、材料の種類、清浄度、硬さ等が非常に重要な要素となります。
ミネベアミツミでは、軌道輪および玉の材料として、主に高炭素クロム軸受鋼や、耐食性の高いマルテンサイト系ステンレス鋼を使用しています。
高炭素クロム軸受鋼は、高品位な真空脱ガス高炭素クロム軸受鋼(JIS G 4805 SUJ 2、AISI/SAE 52100)および相当品を使用しており、焼き入れ硬さの確保により、耐荷重性、寿命、音響に優れています。
ステンレス鋼は、当社独自に開発した「DD400」材を使用しており、DD400はSUS440Cに比べ焼き入れ硬さが高く、寿命、耐荷重性に優れています。
また、炭素が球状細分散する特長があり、クロム鋼に近い音響特性を得ることが出来ます。耐食性については、ASTM-A380に基づく試験の結果、SUS440Cと同等の評価が得られています。
近年の長寿命、低騒音要求に応えるため、ミネベアミツミではセラミックを使用した転がり玉軸受を用意しています。軌道輪の材質は従来のクロム軸受鋼でありながら、玉をセラミック(窒化珪素)とすることで、良好な音響性能と長寿命を両立させることができました。また、窒化珪素特有の限りなくゼロに近い導通性(絶縁性能)により、軸受内を通電することで発生する電食の対策としても有効です。