樹脂部品との組み合わせ
樹脂材料には、軸受に使用されるオイルの成分により、破損や劣化の問題が起きる場合があります。
ミネベアミツミでは樹脂材料と潤滑剤の相性試験に取り組んでいます。
ケミカルアタック
軸受が組み込まれる回りに樹脂材料がある場合、軸受に封入されている潤滑剤や軸受外周に塗布されている防錆油との相性で、樹脂材料に劣化や破損が発生する場合があります。この現象を"ケミカルアタック"と呼んでいます。
一般にケミカルアタックは、非結晶性樹脂で発生しやすく結晶性樹脂では起きにくい傾向があります。非結晶性樹脂は結晶性樹脂に比べ、分子間に潤滑剤が浸透しやすく、分子間結合が破壊されやすい傾向にあるためと考えられます。
使用される樹脂材料は、機能性、生産性、経済性を考慮して選定されますので、ケミカルアタックだけの対策を意識することが難しい状況もありますが、特に樹脂材料に物理的な応力が加わった状態で高温にさらされるときに起きやすい傾向にありますので、応力緩和や温度低減等の対策は十分検討する必要があります。
一般に使用されているエステル系の潤滑剤は樹脂へ浸透しやすく、ケミカルアタックを起こしやすい性質があります。浸透しにくい潤滑剤としては、合成炭化水素系、フッ素系、シリコーン系の基油を使った潤滑剤があります。
ミネベアミツミではケミカルアタックの発生しにくい合成炭化水素系のグリースやオイルを開発しています。
樹脂部品の応力
樹脂部品の物理的な応力は、成型時に内部に残留しているものと、組立て等によって後から加わるものとがあります。
これらの応力は、ケミカルアタックを助長するばかりではなく、軸受の取付け誤差や軸受自体の変形にも関わっている場合があるので、軸受部分(可動部分)の応力が取り払われているか、十分な検証が必要になります。また成型後の二次加工や、離れたところに加わった力が影響している場合もあるので、他の部品との干渉にも注意が必要です。
ウェルドライン
射出成型された部品に見られるウェルドラインは、樹脂部品の強度を下げるだけではなく、取付け誤差の要因になったり、潤滑剤が浸透してケミカルアタックの起点になったりします。軸受回りに不適切なウェルドラインが無いよう十分な配慮が必要です。