転がり玉軸受は単独で使用されることはなく、必ず軸やハウジングに、はめあわされて使用されます。"はめあい"とは軸と内輪内径、ハウジングと外輪外径がはめあわされる時の固さの度合いのことで、一般的には「すきまばめ」「中間ばめ」「しまりばめ」に分けられます。

はめあい

"はめあい"の目的は、回転時の振動を抑えることと、転がり玉軸受の内輪と軸、ハウジングと外輪をしっかりと固定して、相互に有害なすべり(クリープと呼ぶ)を防ぐことです。クリープが生じると、すべり摩耗により異常発熱や摩耗粉が発生します。

異常発熱はグリースの劣化を早め、摩耗粉は軸受内へ侵入することで振動や劣化を招きます。クリープが発生すると転がり玉軸受の性能を十分に発揮できないばかりか、焼きつきや早期寿命の原因となりますので、使用目的に応じて適切なはめあい方法を選択する必要があります。

しまりばめの場合、しめしろによりラジアルすきまが変化します。しめしろによるラジアルすきまの変化量は、以下の計算で求められます。(TIMOSHENKOによる)

しまりばめによる内部すきまの減少

軸と内輪のしまりばめ

図10-1の破線がはめあい前、実線がはめあい後の略図です。
内輪溝径d2は、しめしろ i で圧入したとき、δ増加します。
すなわち、δがはめあいによるラジアルすきま減少量となります。

外輪とハウジングのしまりばめ

図10-2の破線がはめあい前、実線がはめあい後の略図です。
外輪溝径D1は、しめしろ I で圧入したとき、Δ減少します。
すなわち、Δがはめあいによるラジアルすきま減少量となります。

すきまばめの接着剤による固定

しめしろを持たず、接着剤等により転がり玉軸受を軸やハウジングに固定する場合、接着剤の強度が十分得られるすきまを選定してください。なお、適正なすきまは接着剤の種類によって異なりますので、各接着剤メーカーへお問い合わせください。
また、接着剤の硬化応力により、軌道輪の真円度が悪化する場合がありますのでご注意下さい。

なお、弊社ではベアリングを含むサブユニット品につきましても、部品加工・調達、及び組立の対応もしております。

PMC製品紹介ページ

JIS B 0401-1 より抜粋

常用するはめあいの穴の寸法許容差

単位:μm

スクロールできます

寸法の区分(mm) G H JS K M N P
を超え 以下 G7 H5 H6 H7 JS5 JS6 JS7 K5 K6 K7 M5 M6 M7 N6 N7 P7
- 3 +12
+2
+4
0
+6
0
+10
0
±2 ±3 ±5 0
-4
0
-6
0
-10
-2
-6
-2
-8
-2
-12
-4
-10
-4
-14
-6
-16
3 6 +16
+4
+5
0
+8
0
+12
0
±2.5 ±4 ±6 0
-5
+2
-6
+3
-9
-3
-8
-1
-9
0
-12
-5
-13
-4
-16
-8
-20
6 10 +20
+5
+6
0
+9
0
+15
0
±3 ±4.5 ±7.5 +1
-5
+2
-7
+5
-10
-4
-10
-3
-12
0
-15
-7
-16
-4
-19
-9
-24
10 18 +24
+6
+8
0
+11
0
+18
0
±4 ±5.5 ±9 +2
-6
+2
-9
+6
-12
-4
-12
-4
-15
0
-18
-9
-20
-5
-23
-11
-29
18 30 +28
+7
+9
0
+13
0
+21
0
±4.5 ±6.5 ±10.5 +1
-8
+2
-11
+6
-15
-5
-14
-4
-17
0
-21
-11
-24
-7
-28
-14
-35

常用するはめあいの軸の寸法許容差

単位:μm

スクロールできます

寸法の区分(mm) f g h js k m n p r
を超え 以下 f6 g5 g6 h4 h5 h6 js4 js5 js6 k4 k5 k6 m5 m6 n6 p6 r6
- 3 -6
-12
-2
-6
-2
-8
0
-3
0
-4
0
-6
±1.5 ±2 ±3 +3
0
+4
0
+6
0
+6
+2
+8
+2
+10
+4
+12
+6
+16
+10
3 6 -10
-18
-4
-9
-4
-12
0
-4
0
-5
0
-8
±2 ±2.5 ±4 +5
+1
+6
+1
+9
+1
+9
+4
+12
+4
+16
+8
+20
+12
+23
+15
6 10 -13
-22
-5
-11
-5
-14
0
-4
0
-6
0
-9
±2 ±3 ±4.5 +5
+1
+7
+1
+10
+1
+12
+6
+15
+6
+19
+10
+24
+15
+28
+19

JIS B 1566 より抜粋

ラジアル軸受の内輪に対するはめあい※1

スクロールできます

軸受けの等級 内輪回転荷重又は方向不定荷重 内輪静止荷重
軸の公差域クラス※2
0級、6級 r6 p6 n6 m6
m5
k6
k5
js6
js5
h5 h6
h5
g6
g5
f6
5級 - - - m5 k4 js4 h4 h5 - -
はめあい しまりばめ 中間ばめ すきまばめまたは中間ばめ

ラジアル軸受の外輪に対するはめあい※3

スクロールできます

軸受けの等級 外輪静止荷重 方向不定荷重又は外輪回転荷重
穴の公差域クラス※2
0級、6級 G7 H7
H6
JS7
JS6
- JS7
JS6
K7
K6
M7
M6
N7
N6
P7
5級 - H5 JS5 K5 - K5 M5 - -
はめあい すきまばめ 中間ばめ しまりばめまたは中間ばめ

※1 軸受内径の許容差はJIS B 1514-1による。 ※2 公差域クラスの表記は、JIS B 0401による。
※3 軸受外径の許容差はJIS B 1514-1による。

用語の意味

内輪回転荷重 : 軸受の内輪に対して、荷重の作用線が相対的に回転している荷重。
内輪静止荷重 : 軸受の内輪に対して、荷重の作用線が相対的に回転していない荷重。
外輪静止荷重 : 軸受の外輪に対して、荷重の作用線が相対的に回転していない荷重。
外輪回転荷重 : 軸受の外輪に対して、荷重の作用線が相対的に回転している荷重。
方向不定荷重 : 荷重の方向が確定できない荷重。

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