スイッチとは?
仕組みや種類、選び方のポイントを解説
スイッチは、製造の現場から日常生活に至るまで使われている部品の1つであり、私たちの生活の中のあらゆる場面で活躍しています。
スイッチには複数の種類があり、用途によって選ぶべきスイッチは変わります。
その中でも、ミネベアミツミでは主に小型電子機器用のスイッチを開発、生産しています。
この記事では、スイッチの仕組みや種類を解説します。
1. スイッチとは電流の流れをコントロールする電気部品のひとつ
スイッチとは、電気の通り道を開閉する「オン/オフ」、または、電気の流れる道を変える「切り替え」によって、電流をコントロールする電気部品のことです。
電気を流すには、電源と負荷を繋ぐ回路が必要です。スイッチの内側には金属片が組み込まれており、これが電気の流れる道となります。
私たちは機器や道具を使うとき、知らない間にさまざまなスイッチを操作しており、用途や使用場所などにより、大きさも形状も多種多様なタイプが開発されています。
2. スイッチの仕組み
スイッチの仕組みは、『内部に金属片があり金属片が離れたりくっついたりして電気の通り道を開閉する「オン/オフ」が行われる』というものです。
また、『別の金属片とくっつくことにより、電気の流れる道を変える「切り替え」をする』ことができます。
スイッチの選定には、それぞれのスイッチの特性を理解する必要があります。
そこで、特性にかかわる構造上のポイントとなる4点について解説します。
動作方式
スイッチを操作している間だけオンになるものを「モーメンタリ」、スイッチを操作するたびにオンとオフが切り替わるものを「オルタネイト」と言います。
例えば、クレーンゲームのスイッチのように操作している間だけオンになるものが「モーメンタリ動作」、テレビの主電源のように長時間オンとなるものが「オルタネイト動作」です。
極(Pole)と投(Throw)
一つのスイッチが同時に制御できる回路の数を「極(Pole)」、制御できる接点経路の数を「投(Throw)」といいます。
「極」と「投」はセットであり、組み合わせることで使用するスイッチを指定することができます。
定格と負荷
スイッチによって「オン/オフ」される電気エネルギーを消費するものを「負荷」といい、スイッチがどれくらいの「負荷(電流・電圧)」を耐えられるかの指標を「定格」といいます。
荷重曲線(フィーリングカーブ)
スイッチを押したときの操作フィーリングを数値化したものが「 荷重曲線(フィーリングカーブ)」です。トラベル(ストローク)が長いとソフトでなめらかな感覚、短いとシャープな感触になります。
- 作動力:スイッチをオンさせるのに必要な最大荷重
- 復帰力:スイッチが元に戻ろうとする力
- トラベル(ストローク):スイッチがオンするまでの移動量
- クリック率:スイッチを押したときの感触を数値化したもの
クリック率= 作動力 ー 復帰力 作動力 ×100[%]
3. スイッチの種類
スイッチは機能ごとに「操作用」「検出用」「設定用」に分けられます。
-
操作用スイッチ
人が操作することで作動するスイッチ
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- タクティールスイッチ
- スライドスイッチ
- 押しボタンスイッチ
- トグルスイッチ
など
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検出用スイッチ
動きを感知して作動するスイッチ
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- マイクロスイッチ
- リミットスイッチ
など
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設定用スイッチ
機器の機能切り替えに用いられるスイッチ
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- ディップスイッチ
- ロータリースイッチ
など
また、大きさや設備により「産業機器用」「民生機器用」に分けることができ、ミネベアミツミは主に「操作用」「民生機器用」のスイッチを開発、生産しています。
それでは、具体的にどのような種類のスイッチがあるのか、代表的なものをご紹介します。
タクティールスイッチ
「操作用スイッチ」であるタクティールスイッチは、操作部をプッシュすることで電気回路を通電させる、主に、小型電子機器向けのクリック感に優れた小型・薄型のプッシュスイッチです。
スライドスイッチ
「操作用スイッチ」であるスライドスイッチは、主に電気機器の機械的な切り替えに用いられます。
切り替え位置の数、ツマミの向き、切り替え機能など、さまざまなバリエーションがあります。
押ボタンスイッチ
「操作用スイッチ」である押ボタンスイッチは、指による押し動作または引き動作によって操作部がその軸方向に動くことで接点の開閉を行う操作スイッチです。
トグルスイッチ
「操作用スイッチ」であるトグルスイッチは、つまみ状の操作レバーを上下あるいは左右の一方向に倒すことで、電気回路を切り替える構造をもったスイッチです。
スイッチシート
粘着シートにクリックばねを実装したスイッチシートで、プリント配線板に直接貼り付けてタクティール感触の薄型スイッチを実現できます。
4. スイッチの構造
スイッチは大きさも形状も多種多様なタイプがあるため構造も様々です。
ここでは、「タクティールスイッチ」の構造を解説します。
「タクティールスイッチ」は、カバー、押し子、クリックばね、ベース(ハウジング、端子)の4部品で構成されています。ベースには予め、接点と端子が一体成形されています。
カバー
ベースとともにスイッチの内部機構を保護するものです。
押し子
カバーの下にある、スイッチを操作するために人が押す部品であり、ここで受けた荷重をクリックばねに伝えます。
材質の多くは樹脂ですが、トラベルを大きくしたい場合にはラバーを用いることがあります。
クリックばね
スイッチの可動接点です。ボタンが受けた一定の力によってクリックばねが反転することで、2つの接点を接続して回路を通電させます。
力を解除すると元の形に戻ってオフ状態になります。材質の多くは金属もしくはラバーです。
ベース(ハウジング、端子)
ベースは、部品を組み付けるための土台です。
本体は樹脂射出成形品で、射出成形時に金属製の端子と一体成形します。
5. スイッチを選ぶ際のポイント
スイッチを選ぶ際には、いくつか検討するべきポイントがあります。ここでは、5つのポイントについて詳しく見ていきましょう。
種類
スイッチは構造や接点などで種類が分かれ、用途によって選ぶべきスイッチは異なります。
詳細は、3.スイッチの種類 にてご確認ください。
寸法・素材・形状
スイッチの寸法・素材・形状は、スイッチの動作特性や耐久性に影響します。
特に、接点が大電流に耐える能力があるかや接触抵抗などを考慮する必要があり、銀や銅などの導電性の高い素材が一般的に利用されます。
定格
スイッチがどれくらいの負荷(電流・電圧)を耐えられるかの指標を定格といいます。
定格は、特性および性能の保証基準であり、スイッチが安全に動作できる電流値(定格電流)と電圧値(定格電圧)を表します。
使用するスイッチの電流や電圧が定格を超えないようにすることが必要です。
耐久性(寿命)
操作回数の多い場合は動作回数の耐久性が求められます。
スイッチの耐久性の基準には、機械的耐久性(寿命)と電気的耐久性(寿命)の2種類があり、環境や頻度によって適切な寿命を持つ製品を選定します。
耐環境性
スイッチは、屋内外、高温または低温、水や油などとの接触等、様々な環境下で使用することを求められる場合があります。そのため、使用する用途に合わせて、防水性や防塵性を有するスイッチを選定する必要があります。
スイッチの防塵性・防水性を定義するためにIEC(International Electrotechnical Commission)規格があります。IEC規格は、国際電気標準会議が制定する国際規格であり、電気通信分野をのぞく電気・電子分野について国際的な標準化を行っています。
6. スイッチのことなら、ミネベアミツミにご相談を
スイッチは、種類や動作方法、接点構成などを考慮したうえで採用する必要があります。
特に種類と動作方法には密接な関係があり、間違った種類のスイッチを選んでしまうと目的としていた動作が得られないこともあるのです。
そのためにはそれぞれのスイッチの特性を知ることが大事なのです。
ミネベアミツミでは、この記事でご紹介したようなスイッチの豊富な種類やサイズを取り揃えています。
スイッチをご検討の際は、お気軽にご相談ください。
導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。