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電源IC

アンプやソフトウェア設計は不要!車載向けオープン/ショート検知機能付LDOの開発

課題:外部接続機器の電流監視を外付けで実装すると、部品点数も損失も増えてしまう。接続検知を簡素化し、コストも抑えたい。

図1 従来のナビゲーション基板(外部機器接続検知回路の一例)


カーナビやオーディオなどカーインフォテイメントに欠かせないアンテナ、マイク、カメラ。これら外部機器の接続状況を正しく検知するためには、従来外付けの電流測定アンプを追加する構成が一般的でした。
車載の場合、外部接続機器はその配線引き回しだけでも数mを超えることが少なくありません。そこへ更にオープン/ショート検知のために電流測定アンプを搭載し、抵抗を増やすことは電圧ロスに繋がります。このような非効率な構成を取らざるを得ないことは、設計上の大きな悩みでした。
またオープン/ショートの検知をするには0.5mAという微小な電流から200mAまでの大電流と幅広い電流を検出する必要があります。このためには高精度な電流測定アンプを用意する必要がありました。
部品の点数が増えることで回路構成は複雑化し、さらに高精度な電源測定アンプの選定は全体コストを押し上げる一因になっていました。
オープン/ショートフラグを精緻に検出しながらシンプルな構成をとるICはできないか?コストも可能な限りおさえたい。お客様の悩みに直面した半導体エンジニアは発想を転換し、電流検知用に外付けの電流測定アンプを必要としないオープン/ショート検知の仕組みにむけ試作を始めました。

解決方法:電流検出と接続判定の回路両方をIC へ内蔵。電流測定アンプ不要のオールインワンLDO でシステムを簡素化する。

電流検出回路を2つに分離、IC に内蔵

図2 電流検出回路を2つに分離した


当初、電流測定アンプの機能をそのままIC 側に取り込む設計思想で電流検出をしようとしていました。しかし単に電流測定アンプを入れるだけでは外部の抵抗を残した形になります。抵抗による電力喪失は発生してしまうため、構成に新規性がありませんでした。
次に抵抗が必要ないカレントミラ-回路で電流を測定しようと試みましたが、オープン検知/ショート検知の電圧と電流は通常領域の範囲が大きく異なるため、高い精度を保ちながらその両方をカバーすることは出来ませんでした。
そこで、センシングする電流の領域ごとにカレントミラ-回路を2つに分ける方向へ設計方針を大きく転換します。
微小電流と大電流をそれぞれ異なる回路で検知することで電流誤差は小さくなり、電流監視回路追加による電力損失が無く、同様の精度を出すことが可能となりました。
またオープン/ショート検知の電流しきい値は外付け抵抗にて設定できるよう変更しました。

接続判定の回路もIC へ内蔵

図3 3つの回路がオールインワンのLDO による構成へ


従来は、①レギュレーター回路(レギュレーターIC) ②電流検出回路(電源測定アンプ) ③接続状態判定回路(マイコン内ADコンバーター)により、接続状態の判定しきい値の設定を行っていました。
接続判定のためにはマイコン側でアナログポートの用意が必須で、かつ、ソフトウェア設計が必要でした。
そこで、この時間やコストを改修すべく、接続状態判定しきい値回路そのものをIC へ取り込む設計を行いました。従来電源測定アンプで電源を検出するために使用していたマイコン側のAD コンバーター機能も不要になりました。
①レギュレーター回路 ②電流検出回路 ③接続状態判定回路が1チップに搭載されたことにより、マイコン側で用意するものは汎用I/Oポートのみになりました。
従来構成における高精度な電流測定アンプやマイコン側のADコンバーターも不要になり、簡素化されたため、サイズがぐっと小さくなり、マイコン側の負荷も減らすことができました。

導入効果

■ 信頼性の向上:
①レギュレーター ②高精度アンプ ③マイコン内のA/Dコンバーターが1チップに搭載されたオールインワンのLDO です。シンプルな構成は信頼性の向上へとつながります。

■ 高精度の電流検出:
オープン電流/ショート電流を個別に外付け抵抗で設定出来、従来に比べて検出設定がより容易になりました。
お客様のご使用条件や用途にあわせて、異常値としてのオープン電流/ショート電流の値を柔軟に設定することができます。

■ 様々な外部接続機器をカバー:
微小電流と大電流を、それぞれ専用の回路で電流検知を出来ます。このため選定できる外部接続機器の幅が広がります。

■ 省スペース:
これだけの機能を盛り込みつつ、2.7mm * 2.5mm の小型パッケージを実現しました。パッケージ面積が小さくなったことでお客様のアプリケーションに占める実装スペースを削減します。

■ 低コスト:
オールインワンのレギュレーターなので、外付けの高精度な電流測定アンプやAD コンバーターのご用意は不要です。コストカットに繋がります。

基本情報:

使用した製品

オープン/ショート検知機能付きLDO

MM1926 シリーズ
MM1936 シリーズ

産業分野

車載分野(カーインフォテイメント、TVアンテナ、マイク)他外部接続機器

<標準品番>
・MM1926□□□HBE
・MM1936□□□RRE

<AEC-Q100 G2 準拠品番>
・MM1926□□□HC2
・MM1936□□□RS2

応用分野

LDOで外部接続機器に電源を供給しており、接続状態をすぐに把握されたいアプリケーションに応用可能です。お気軽にご相談ください。

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