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DC-DCコンバーターとは?

DC-DCコンバーターの機能とは?
主な種類や選び方のポイントを解説

DC-DCコンバータとは、直流電源の電圧を変換するための装置や部品をいい、ミネベアミツミの製品ではリニアレギュレータ(LDO)やDC-DCスイッチングコンバータなどがあります。用途や目的によりさまざまな種類が開発されており、私たちの暮らしやビジネスに欠かすことのできないスマートフォン、電気自動車(EV)、ロボット掃除機などといった機器にも必要不可欠なものです。

ここでは、DC-DCコンバータには具体的にどのような種類があるのか、どのようなシーンや用途で使われているのかご紹介します。また、DC-DCコンバータを選ぶ際のポイントなども併せて見ていきましょう。

1. DC-DCコンバータとは?

DC-DCコンバータは直流電源(DC:Direct Current)を直流電源へと変換(Convert)するという名前を持つ装置ですが、大きな役割は電圧を変換することです。入力電圧を上げて出力する、下げて出力するといった機能のほか、入力電圧の数値にかかわらず、一定の電圧にして出力するといった機能も持ちます。
まずは、DC-DCコンバータの使用目的や、AC-DCコンバータとの違いについて解説します。

DC-DCコンバータの使用目的

電子機器を動かすためには、安定した電圧が必須です。DC-DCコンバータは、電圧の調整や維持の役割を持つことから、電子機器が安定して動作するために使用されます。適切ではない電圧で電子機器を動かすと誤作動や故障の原因になることがありますので、DC-DCコンバータの使用は不可欠です。

また、DC-DCコンバータは、バッテリーを使用する電子機器の電力効率や、バッテリーの利用効率を向上させる目的でも使われます。

AC-DCコンバータとの違い

DC-DCコンバータのほかに、AC-DCコンバータというものもあります。DC-DCコンバータは直流電源の電圧を変換する装置ですが、AC-DCコンバータは、交流電源(AC:Alternating Current)を直流電源に変換する装置のことです。

一般的な日本の住宅や商業施設における電源コンセントは、AC100Vに設定されています。一方、多くの電子機器は、DC10VやDC5Vといった具合に、直流電源で動くように設計されています。
そのため、コンセントで電子機器を動かそうとすると、交流を直流に変換する必要があり、その役割を担っているのがAC-DCコンバータなのです。

2. DC-DCコンバータの主な種類

DC-DCコンバータは電圧を変換する方法の違いにより、「リニアレギュレータ(LDO)」と「スイッチングレギュレータ」の2種類に大別されます。それぞれの機能やメリット・デメリットについて解説します。

リニアレギュレータ(LDO)

リニアレギュレータは、入力電圧に対して出力電圧を下げる機能を有するシンプルなDC-DCコンバータです。構造や見た目もシンプルで、入力用、出力用、GND(グランド)用の3本の端子から構成されています。
余分な電圧が熱として放出されるため、電力変換の効率が低い点はデメリットといえますが、ノイズが発生しづらいというメリットもあります。

スイッチングレギュレータ

スイッチングレギュレータは、スイッチを高速でオン・オフさせることで電圧制御を行うDC-DCコンバータです。リニアレギュレータに比べて電力変換を効率的に行えるように開発され、特にモバイル機器においては効率化の面で主流となりました。
熱を放出しにくく、高い電力変換効率を持つため、大電流を扱えるのがメリットです。一方で、リニアレギュレータと比べるとノイズが発生しやすいというデメリットがあります。
スイッチングレギュレータは機能により、さらに細分化できます。主な種類は下記のとおりです。

降圧レギュレータ

降圧レギュレータは、入力電圧に対して出力電圧を下げる機能を持ちます。例えば、DC5Vの入力電圧に対して、DC3Vの電圧を出力することが可能です。

昇圧レギュレータ

昇圧レギュレータは、入力電圧に対して出力電圧を上げる機能を持ちます。例えば、DC3Vの入力電圧に対して、DC5Vの電圧を出力することが可能です。

昇降圧レギュレータ

昇降圧レギュレータは、入力電圧にかかわらず、一定の電圧で出力する機能を持ちます。例えば、DC3Vの入力電圧をDC5Vに上げて出力する一方で、DC7Vの入力電圧をDC5Vに下げて出力電圧を一定にします。

チャージポンプ(反転)

チャージポンプは、電荷を移動させ、入力電圧とコンデンサに蓄えた電圧を組み合わせて出力電圧を作り出す方法です。反転型では正電圧から負電圧を作り出すこともでき、例えばDC3Vの入力電圧に対してDC-3Vの電圧を出力し、DC-3Vの入力電圧に対してDC3Vの電圧を出力します。

3. DC-DCコンバータの使用例

電圧制御が主な機能であるDC-DCコンバータの使用シーンはさまざまです。具体的にどのような電子機器に使用されているのか、いくつか例をご紹介します。

モバイルデバイス

DC-DCコンバータは、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスに使用されています。これらの電子機器に搭載されたバッテリーの電圧を最適化することが主な目的です。

家庭用バッテリー

ロボット掃除機、スティック掃除機、電動ハブラシ、電動シェーバーなどといった家庭用電化製品のバッテリーにも、DC-DCコンバータが使用されています。電源から供給される電圧をDC-DCコンバータにより調整変換したり安定化させたりすることで、家庭用電化製品を安全に使用することができます。また、エネルギーを無駄に消費せず、適切に利用できることも特徴です。

自動車

DC-DCコンバータは自動車、特に電気自動車(EV)やハイブリッド車に使用されています。EVの元電源ともいえる高電圧のトラクションバッテリーから、低電圧で稼働する車両内部の各種システムに電力を供給する際の電圧変換に利用されています。

また、自動運転の発展に伴い近年注目されているのが、車載用マルチメディア、いわゆるカーインフォテインメント領域での利用です。カーインフォテインメントは車載バッテリーから電力を得ますが、配線の末端に行くにつれ、配線抵抗などの理由により電圧が低下していくことがあります。DC-DCコンバータは、入力電圧を安定した出力電圧に変換することで、配線抵抗による電圧低下を補正します。

4. DC-DCコンバータを選ぶ際のポイント

DC-DCコンバータを選ぶ際には、いくつかのポイントについて確認が必要となります。主なポイントは、下記のとおりです。

電圧を出力する効率とノイズ

DC-DCコンバータを選ぶ際には、要求される電圧を出力する効率とノイズのバランスをチェックすることをおすすめします。
例えば入力電圧DC5VからDC1.8Vを作る場合、リニアレギュレータはノイズが小さい一方で、電圧差が大きいと効率が悪くなります。スイッチングレギュレータはノイズが大きい一方で高効率という特徴があるため、効率とノイズのどちらを優先するかが選択ポイントとなります。

リニアレギュレータとスイッチングレギュレータの比較

スクロールできます

ノイズ

回路構成

効率

発熱

構成コスト

リニアレギュレータ 容易 悪い 大きい 安い
スイッチングレギュレータ 複雑 良い 小さい 高い
  • 一般的なリニアレギュレータとスイッチングレギュレータの簡易比較。想定条件は、入力電圧DC3VからDC1.8Vを作る場合。

出力電流

DC-DCコンバータのデータシートにより、出力電流を確認します。最大負荷時に必要とされる電流を供給できるかどうかがポイントです。

推奨動作電圧の範囲

DC-DCコンバータのデータシートには、推奨動作電圧の範囲が記載されています。対象となる電子機器の使用で想定される、入力電圧の全帯域をカバーしているかどうかの確認が必要です。

出力電圧の範囲と精度

検討するDC-DCコンバータの出力電圧範囲と出力電圧精度が、電力を供給する機器が必要とする電圧に合致しているかどうかも確認します。出力電圧の範囲が合致しない場合、安定して駆動できないことがあります。

スイッチング周波数の範囲

スイッチングレギュレータの場合には、周波数の範囲も確認が必要です。使用環境で想定される最小から最大までのスイッチング周波数をサポートしているかどうかをデータシートで確認します。

5. 目的や用途に合ったDC-DCコンバータの選択は、ミネベアミツミにご相談を

DC-DCコンバータには多様な種類や用途があるため、選択に迷われる方も多いでしょう。

ミネベアミツミでは、さまざまなDC-DCコンバータはもちろん、電源や電圧を制御したり監視したりするような各種電源ICも取り揃えています。DC-DCコンバータの選択に迷う場合や、専門家の意見を聞きたい場合には、お気軽にご連絡ください。

導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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