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金属検出機とは?

金属検出機とは?
基本構造や検出の仕組み、検出感度を解説

金属検出機とは?

金属検出機は、製品や原料などを検査し、目視できない金属異物を検出するための機器です。金属が混入していてはいけない食品などの製造で利用されており、消費者の安全と安心を確保するために重要な役割を担っています。また、製造工程へ原料などを投入する前に金属異物の検査をすることで、工程内の装置の故障を防ぎ、装置の修理、製造ライン停止による損失を防ぐことが可能です。
この記事では、金属検出機の基本構造や検出の仕組み、検出感度について解説します。

1. 金属検出機とは、目視できない金属を検出する機器のこと

金属検出機とは、目視では確認できない、製品や原料内部の金属異物を検出することができる機器です。金属検出機を製造ラインに導入することにより、製品の品質と安全性を確保し、消費者に安心を提供することができます。
金属検出機は主に「コンベヤ式」「自由落下式」「パイプライン式」の3種類に分類され、検査対象の製品形態や生産ラインの構成に応じて選択が可能です。ここでは、それぞれの特徴について解説します。

コンベヤ式金属検出機

コンベヤ式は、ベルトコンベヤに検体を載せて、移動させながら検出する方式です。固形物や包装済み製品の検査に適しています。

<コンベヤ式金属検出機の特徴>

  • 冷凍・チルド食品などの固形物や、包装済み製品の検査に適している
  • 質量の大きいものでも検査が可能
  • 生産ラインに組み込みやすく、連続的な検査が可能
  • 金属異物の検出時は、エアーブロワー、プッシャーなどでコンベヤ上から取り除かれる

自由落下式金属検出機

自由落下式は、チューブなどの内部に上から下へ検体を落としながら検出する方式です。粉体などに鉄・ステンレス・アルミニウムといった金属片が混入していれば検出し、取り除きます。

<自由落下式金属検出機の特徴>

  • 粉体や顆粒状の製品の検査に向いている
  • 磁性金属・非磁性金属を検知し、自動的に排出する機能を持つ

パイプライン式金属検出機

パイプライン式金属検出機_vistus_pipeline

パイプライン式は、パイプラインの内部に検体を流しながら金属を検出するものです。液体や粘性のある製品の検査に適しています。

<パイプライン式金属検出機の特徴>

  • 液体やミンチ、ジャムなどの粘性のある液体に適している
  • パイプ内を流れる製品を非接触で検査できるため、衛生面で優れている
  • 食品・化学・製薬メーカーでの使用実績が多い

2. 金属検出機の基本構造

金属検出機にはコンベヤ式、自由落下式、パイプライン式といった形状の違いはありますが、いずれも検出部、搬送部、モニター、コントローラーなどで構成されています。また、オプションで排出装置などを取り付けることも可能です。
製品や材料が搬送部を通り、検出部で金属が検出された場合、排出装置により自動で除去されるというのが基本的な検出の流れです。

■金属検出機の構成(自由落下式の場合)

金属検出機の構成(自由落下式の場合)

なお、排出方法は、コンベヤ式と自由落下式・パイプライン式で異なります。
コンベヤ式は、金属が検出されると、排出対象をエアーブロワーやプッシャーでコンベヤ上から押し出します。軽い検査品であれば主にエアーブロワーを使用しますが、400g以上の重い検査品は、プッシャーを用いることがほとんどです。
自由落下式・パイプライン式は、金属が検出されると、最下部に取り付ける排出装置にて混入物を別ルートへ振り分けます。

3. 金属検出機の検出方法

金属検出機の検出方法は、主に「電磁誘導方式」「磁気誘導方式」の2つがありますが、ミネベアミツミグループのミネベアインテックでは電磁誘導方式を取り扱っています。

電磁誘導方式の検出部はサーチコイルといい、1つの発信コイルと2つの受信コイルの組み合わせです。コイルに電流を流すと、発振コイルが磁束を形成します。磁束内を金属が通過すると、電磁誘導によって金属が通過している部分の磁束に乱れが生じます。
このとき、通過している受信コイルと通過していない受信コイルでは電圧に差が生じるため、この差を利用して金属を検出できるのです。

■サーチコイルの仕組み

サーチコイルの仕組み

4. 金属検出機の検出感度

金属検出機の検出感度とは、金属検出機が検出できる金属の最小の大きさを指します。感度の単位は通常、金属の直径で表され、感度が高いほど微小な金属を検出可能です。
高感度の金属検出機では、直径0.2mmの金属球を検出できるものもあります。

検出感度は、下記のような要因で影響を受けます。そのため、検査する対象によって金属検出機の感度調整が必要です。

<金属検出機の検出感度に影響する要因>

  • 金属の種類
  • 被検査品の性質(水分量、塩分量など)
  • 周囲のノイズ環境

感度調整の方法

検査する対象ごとに検出したい金属の大きさや質量は違うため、金属検出機の感度調整が必要です。
金属検出機の感度や性能は、コイル設計、使用する周波数、信号処理技術などによって決まります。

<金属検出機の感度を調整する方法>

  • コイル設計の最適化:サーチコイルの形状や配置を調整することで、磁束の均一性と強度を最適化し、検出感度を向上することができます。ミネベアインテックの金属検出機は300種類以上のコイルを用意しており、検体に応じたコイルを使用可能です。
  • 周波数の調整:周波数により金属の検出感度が変わるため、周波数を変更することで感度を調整できます。一般的に、検査対象の性質が一様であれば高周波数で小さな金属異物を検出可能です。性質にバラツキがある製品を検査する場合は、低周波数を使用することで誤検出を防ぎます。
  • 電子回路の調整:信号処理回路の増幅率やフィルター設定を調整することでノイズを低減し、検出精度の向上が可能です。

最新の機種では、複数の周波数を使用したり、高度な信号処理アルゴリズムを採用したりすることで、より高感度かつ安定した検出を可能にしています。

5. 金属検出機の利用例

金属検出機は、さまざまな分野で活用が可能です。ここでは、食品製造分野と化学分野における利用例をご紹介します。

食品製造分野:包装後の最終製品の検査

食品衛生法により、すべての食品等事業者にはHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:ハサップ)を導入して衛生管理することが求められています。金属検出はHACCPにおける「重要管理点(CCP)」とされることが多く、最終製品として包装されたものを金属検出機で検査することが一般的です。
金属検出機には、電磁誘導方式、磁気誘導方式があります。ただし、包装の種類によっては使えない方式があるので、導入の際は対象とする製品に応じて機器を選ばなければなりません。

化学分野:原料、中間品、完成品の各段階における異物混入のチェック

化学分野においては、原料、中間品および完成品の各段階において異物混入のチェックを行います。このため、金属検出機は製造ラインの複数のポイントで不可欠です。
特に、製品の純度が重要な製造過程において、微細な金属異物を検出することが品質管理において重要な役割を果たしています。

6. 金属検出機のことなら、ミネベアインテックにご相談を

金属検出機は、目視では確認できない金属異物を正確に検出するための装置であり、食品や化学製品の品質管理に欠かせないものです。ひいては、消費者の安全を守る上でも欠かせないものといえます。

ドイツに開発・製造拠点を構え、堅牢・ハイジェニック(超衛生的)・高性能な製品を世界中で展開するミネベアミツミグループのミネベアインテックが取り扱う金属検出機は、300種類以上のコイルサイズを取り揃えており、対象物に合ったコイルを選定することで精度を高めることが可能です。チェックウエイアー(ウェイトチェッカー)との組み合わせも可能で、最小のスペースで効果的なチェックができます。 金属検出機の導入やリプレースをお考えなら、ぜひお気軽にミネベアインテックにご相談ください。

導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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