概要
複合製品(EMS)から、静電スイッチモジュールとその技術をご紹介いたします。
このモジュールでは、物(誘電体)が近づいた時の電気力線の変化を読み取る静電センサー方式を採用しています。
空間における電気力線の変化を動作に結びつけるため、例えばスイッチのON/OFF 操作など、直接センサーに触れることなく出来るようになります。
入力面の形状や素材を選ばず基板を埋め込める特性から、これまでにない自由なアイディアで入力装置をデザインすることが出来ます。
特徴
電気力線で判定 | : | 電気力線による容量変化判定のため入力面がセンサー基板と離れていても、安定した入力を実現します。また入力面に多様な材料を採用できます。 |
高感度 | : | 良好な感度特性を生かして近接センサーとしても使用可能です。 |
ソフトウエアコントロール | : | ミネベア独自の入力判定アルゴリズムにより、キーサイズ、キーピッチに合わせての誤入力対策を盛り込むことが出来ます。 |
ミネベア製 静電スイッチモジュール入力原理
電気力線タイプの静電スイッチモジュールについて、入力までの原理を説明します。
① 通常は、電気力線がドライブラインからセンサーライン、グランドへと飛んでいる状態です。
図1:スタンバイ状態
② 指が近づき電気力線に変化が起きます。これを検知し処理につなげます。
図2:入力の検知
何が可能になるのか?
一般的な静電スイッチ
図3:一般的な静電スイッチ
一般的な静電スイッチの入力は、直接センサーに触れるか、センサーパッドに密着した厚み1mm程度までの薄い板を介す入力に制限されていました。
ミネベア製 静電スイッチモジュール
電気力線を利用した場合、必ずしもセンサーに触れる必要はなく、またセンサーに密着した板である必要はありません。
入力判定をソフトで組み込む為、製品の外観形状に囚われずに製品内部にセンサー基板を配置する事が可能になります。
触れずにインプットをしたい
物(誘電体)が近づくことによる電気力線の変化をキー処理につなげるため、触る必要がありません。
安全・衛生上の理由で触りたくない/触ることが出来ない環境や、厚手のゴム手袋をしたままの環境等、この技術を用いて触らないインプットが実現可能です。
この良好な感度特性(高感度)を生かし、近接センサーとしても使用可能です。
図4:触れずにインプット
センサー基板からの距離に囚われず設計にしたい
図5:センサー基板と操作パネル間に空気層が存在する
電気力線方式では、センサー基板と操作パネルの間に空気層が存在してもセンサーの反応値を得ることが出来ます。
センサー基板から数センチ*離してもその感度は衰えませんので、センサー基板と操作パネルの間を離した設計が可能です。
* 基板サイズによる
自由な形状、材質でデザインしたい
図5:センサー基板と操作パネル間に空気層が存在する
電気力線方式では、入力面の形状に関係なく安定した機能を提供します。
また、入力面には金属以外のどんな材質も利用でき、特殊な素材を使う必要はありません。形、素材など自由なデザインの入力デバイスが実現可能になります。
図6:入力面が凸形状で対応可能
図7:入力面が凹形状であっても対応可能
図8:入力面形状が不均一(曲面や凸凹)でも対応可能
図9:入力面に様々な素材*を使用可能(*金属類で構成されないこと)
用途に応じたカスタマイズや応用
形状のカスタマイズ
ご要望の用途に合わせセンサータイプ(センサー形状)を設計します。
図10:センサー形状実例
動作設計のカスタマイズ
- お客様の製品に組み込んだ際の、最適なキー入力実現のため、入力判定アルゴリズムを含めてカスタム提供させていただきます。製品用途に合わせて特殊なキー判定アルゴリズムの実装も可能です。
- モジュールのインターフェースには、SPI, UART, I2C, USB, RF, IR などの実績があります。お客様の用途/ご要望に沿ったカスタム設計をさせていただきます。
応用例その他
- 複合製品(EMS)として、筺体設計、入力面のデザインを含めての対応が可能です。またミネベア全製品ラインアップからトータルした提案もさせていただけます。
- 小さな水滴に依る誤入力が発生しません。将来的には流水下での誤入力対策も可能になる予定で、開発を続けています。
- 基板タイプの静電スイッチが実用段階になり、開発はフレキシブル基板化などを視野に入れて継続中です。
壁内への埋め込み、カバーレスの壁面完全一体化スイッチ。人感センサーとの組み合わせで近づいた時のみスイッチ位置を表示することも。
図11:応用例
図12:応用例
導光板と組み合わせて入力部分を光らせ、まるで浮かび上がっているようにみせている例。デザイン性に富んだ入力装置のご提案をさせていただきます。
※ 写真は入力面にハーフミラーシート(ピカニュウム)を利用し、バックライトで入力部を表示