ホッパーやタンクに電子式計重装置を取り付けて”はかりとしての正確さ”を求めるためには、ロードセルや計器が持っている誤差を調べるだけでなく、ロードセルの装着構造、ロードセルの据付適否により発生する誤差も考慮しなければならないので、正確に予測することは困難です。
ここでは、ロードセル及び計器に限定して説明を行います。
検出部の総合精度
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1)ロードセルの精度(誤差)に関連ある要素は
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非直線性(σ1)
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ヒステリシス(σ2)
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繰り返し性(σ3)
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温度による零点の影響(σ4/℃)
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温度による出力(スパン)の影響(σ5/℃)
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これらの5要素の値は各仕様書に記載してあります。
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2)これらの各要素が組み合わせれたロードセル(単体)の総合精度(σT)は次の式になります。
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但し、t : ロードセル使用時における周囲温度の変化幅です。 -
3)ロードセル単体、各要素の性質
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非直線性 : 下図に示す様に放物線上のカーブを描きます。
ひょう量が定格容量より小さければ直線性は向上します。(σ1'<σ1) -
ヒステリシス : ひょう量の代償に関しては非直線性と同じ特性を持っています。
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再現性 : 最大ひょう量に比例した一定の割合です。
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温度による零点変化 : 最大ひょう量に関係なく仕様書記載の値です。
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温度による感度(スパン)の変化 : 最大ひょう量に比例した一定の割合です。
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4)一般的にホッパーやタンクの計量には、同一定格容量のロードセルを3~4個使用します。
複数個のロードセルを電気的に加算した場合の総合精度σsは次の式になります。 -
但し、N : ロードセルの個数
これは”統計”の考え方から推定できる式です。
この式はロードセルの個数が多いほど総合精度が良くなることを示しています。
例えば、ロードセルを4個使用すると(N=4)総合精度は2倍(誤差は1/2)になります。
(ロードセルを1個使用時(N=1)と比較)
計器の総合精度
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1)計器の精度(誤差)に関連のある要素は
非直線性(σ6)
温度変化に伴う零点の移動(σ7/℃)
温度変化に伴う感度(スパン)の変化(σ8/℃)
等があります。
この各要素の値は各仕様書に記載してあります。 -
2)これらの要素が組み合わされた単体の総合精度σAは次式になります。
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但し、t : 計器の周囲温度の変化幅です。 -
3)計器が直列に接続された場合の総合精度σASは次式になります。
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(例)
<例>に示した通り、デジタル表示器の表示値が計測値である場合は、デジタル表示器特有の誤差”読み取り値1カウント”を加える事に注意して下さい。この1カウントは√の中に入れずにシステムの総合精度を求めた後に単位を合わせた上、単純にプラスして下さい。
システムとしての総合精度
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これをσGとすれば
となります。
備 考
冒頭でふれた通り、ロードセルが適切に取り付けられていなかったり、ロードセルへの外部からの影響を最小限に抑えるような取付をしないと予想精度を確保できないことがあります。
例えば、計量容器の熱膨張、原料輸送用のパイプの引張力、摩擦力による影響、ロードセルへの偏荷重、ロードセルの絶縁低下、温度によるケーブルの抵抗値変化等に十分留意しなければなりません。
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