歯形式電磁クラッチ
EZE・EZDタイプは、特に工作機械用に開発されたもので、かみ合いの歯高が小さく、歯車装置に適しております。この形はギヤボックス内等に取付け、湿式で使用するのが普通ですが、運転装置の外部におき、乾式でも使用できます。
ZAA~ZHA タイプは乾式用で一般機械及び重機械に使用され、歯高が大きく、従って歯数も少なくなっています。ZAA・ZBA・ZEA ・ZFA
タイプは、2個の黄銅製スリップリングとカーボンブラシを通じて電流を供給するので、スリップリングは防油、防水でなければなりません。
特徴
歯形式電磁クラッチは摩擦式の電磁クラッチに較べると、次のような特徴があります。
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所要のトルクに対して小形で、軽量です。
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作動は確実迅速で、かみ合い後スリップはありません。
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かみ合形のため、保守調整が容易です。
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空転トルクがなく、より高速回転で使用できます。
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連結は原則として静止時に行い、解放は定格トルク、最大回転数でできます。負荷条件によっては回転時連結もできますのでお問合わせください。
スクロールできます
形式 |
突き合せ軸 |
通し軸 |
正作動形 |
負作動形 |
コイル回転形 |
コイル固定形 |
サイズ |
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最小 |
最大 |
|||||||
EZE | ○ | ○ | ○ | ○ | 2 | 1600 | ||
EZD | ○ | ○ | ○ | ○ | 2 | 1600 | ||
EZL | ○ | ○ | ○ | ○ | 5 | 400 | ||
EZR | ○ | ○ | ○ | ○ | 5 | 400 | ||
ZQS | ○ | ○ | ○ | ○ | 5 | 160 | ||
ZAA | ○ | ○ | ○ | 16 | 10000 | |||
ZBA | ○ | ○ | ○ | 16 | 10000 | |||
ZCA | ○ | ○ | ○ | 16 | 1000 | |||
ZDA | ○ | ○ | ○ | 16 | 1000 | |||
ZEA | ○ | ○ | ○ | 16 | 10000 | |||
ZFA | ○ | ○ | ○ | 16 | 10000 | |||
ZGA | ○ | ○ | ○ | 16 | 1000 | |||
ZHA | ○ | ○ | ○ | 16 | 1000 |
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※注:上記以外のサイズの場合はお問合わせください。
ご使用上の注意事項
電磁クラッチのサイズは、単に出力や回転数のみでなく、他の要素にも大きな関係がありますので、サイズの決定は、当社にお問合わせください。歯形式電磁クラッチは直流でのみ動作します。特に迅速な応答速度を必要とする場合は、過励磁方式を採用するか、当社の過励磁方式電源装置をご使用ください。湿式の使用油はタービン油ISO VG32 を使用し、給油方式はフリカケ式で使用し、磁石式のフィルターを備え付けてください。クラッチは、軸方向のガタがないように組付けてください。 また、負動作形クラッチで突合せ軸のものは大きなスラスト力がかかりますのでお問合わせください。湿式の場合で、励磁電流が3A以上の場合は、Gr62形ブラシを、また、スリップリングの周速が6m/s 以上の場合はGr62形ブラシを2個以上ご使用ください。
型式表示
注記
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※1.湿式・乾式のラインナップを揃えているのはEZE・EZD・ZQS タイプとなります。
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※2.仕様番号000 はカタログ下穴寸法の標準品となります。(御要求により採番し管理致しております。)
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※3.電圧(DC-V)仕様は次の通りです。B---24V・D---48V・E---110V
(機種/ サイズにより製作していない電圧がありますので問合せ願います。)
構造及び機能
EZEタイプについて
電磁石で連結、ばねの力で開放
電磁石本体(1) は環状で、正面に多数の小さい歯を持っていて、又、軸方向に運動するアーマチュア(2) にも同様に歯を設けてあります。アーマチュアはアウターボディー(3)
のインボリュート歯にはまっています。電磁石本体にはスリップリング(4) があり、コイル(5) の一端はスリップリングに、他の一端は電磁石本体に接続しています。
コイルが直流電流によって励磁されると、電磁石本体はアーマチュアを引きつけ、歯が互いにかみ合い、クラッチの連結が行われます。
電流を切ると戻しピン(6) がアーマチュアを押し、電磁石本体とのかみ合いを解き、アーマチュアはアウターボディーの中にある永久磁石、又は、引張ばねによって更に引付けられ、クラッチは開放します。
ZAAタイプについて
電磁石で連結、ばねの力で開放トルクを伝える2 つの平面歯(4) と(5) は電磁石本体(2) とアーマチュア(1) の正面に設けられています。アーマチュアはボス(6) のスプラインによって軸方向に摺動できるように支えられています。電流がスリップリング(7) を通ってコイル(3) を励磁すると、電磁石本体はアーマチュアを引きつけ、一対の歯(4) と(5) がかみ合ってトルクを伝えます。電流を切るとアーマチュアはコイルばね(8) によって最初の位置に押し戻され、クラッチは開放します。
ZGAタイプについて
ばねの力で連結、電磁石で開放
電磁石本体(2) は固定されており、環状をしています。アーマチュアも環状で内側ボス(6) のスプラインによって軸方向に摺動出来るように支えられています。電流を切ると、強力なコイルばね(8)
によりアーマチュア(1) は押し離され、2つの平面歯(4) (5)
はかみ合います。電流を通すとアーマチュアはコイルばねの力に打ち勝って電磁石本体側に引きつけられます。従って平面歯のかみ合いがはずれクラッチが開放します。
定位置噛み合いクラッチ
ばねの力で連結、電磁石で開放
トルク50N・m以上400N・mまでの定位置かみ合いの歯形クラッチも生産しております。