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CPUとは?

CPUとは?
基本構造やタスク処理方法、用途をGPUと比べて解説

CPUとは、コンピューターやスマートフォンといった多くの電子機器に搭載され、いわば頭脳としての役割を果たす半導体製品です。また、GPUも同様にコンピューターなどに搭載される半導体製品ですが、CPUとの違いはあるのでしょうか。
ここではCPUとGPUの基本構造やタスク処理方法、用途のほか、性能を評価する指標についてわかりやすく解説します。

1. CPUとGPUの基本構造

CPU(Central Processing Unit)とGPU(Graphics Processing Unit)はいずれもロジック半導体と呼ばれますが、構造や演算の仕組みの違いから、それぞれに適した役割があります。

CPUの基本構造は、1つのチップ上に主に半導体素子であるトランジスタを数億~数十億個集積したものです。つまり、CPUはIC(集積回路)であり、ICの中でも超大規模集積回路であるVLSIやULSIに分類されます。なお、1970年代に世界で初めて開発されたCPUに集積されたトランジスタの数は2,300個でした。現在では、約100万倍にあたる数十億個ものトランジスタがCPUに集積されています。
CPUのサイズは数cm角であり、ダイと呼ばれるトランジスタを無数に集積したチップ部分がコアです。コアは、1,000本を超える接続端子(ピン)で外部の部品や装置とつながっており、放熱などを考慮してパッケージの中央に配置されます。さらに、金属などでできた放熱板で覆われていることが大半です。

GPUもCPUと同様、チップ上に無数のトランジスタを集積していますが、CPUとの大きな違いは、コア数が非常に多いことです。複雑な多種の処理をこなすCPUと比べて演算対象は絞られますが、コア数を増やして並列処理することで性能を効率良く上げることができるからです。

2. CPUとGPUの処理特性の違い

CPUは中央演算処理装置、GPUは画像処理装置と呼ばれますが、両者の大きな違いは何でしょうか。

■ CPUとGPUのタスク処理イメージ

CPUは様々な種類の複雑なタスクを順序よく連続処理することが得意です。GPUは小型で特殊な多数のコアが連携して動作し、処理タスクを多くのコアに分割し並列処理することで大量のデータを一度に処理することが得意です。

■ CPUとGPUの特徴と用途

CPUは複雑な演算とプログラムの制御を担当し司令塔のような役割を果たします。CPUはさまざまな処理に対応できる汎用性の高さと、コアあたりの処理性能の高さを備えている一方で、同時に複数の処理をすることは得意ではありません。
このような特性から、データの順次処理や制御のほか、OSやマウスの操作、アプリや各種コマンドの実行といったコンピューターの動作を支える数多くの処理を担っています。

一方のGPUは、「Graphics Processing Unit」という名称からもわかるように、画像処理に特化したICとして開発された半導体です。高速なグラフィックス計算やデータ処理に特化したもので、複数のタスクを同時に処理する並列処理が強みです。
そのため、大量のデータを同時に処理することが可能で、ゲーム、ビジュアルエフェクト、科学計算といった高速な描画やデータ処理に向いています。さらに近年では、機械学習、AIの演算処理などに応用されるようになってきました。

3. 特性に応じたCPUとGPUの用途

CPUとGPUは、特性に応じてさまざまな用途に活用することが可能です。さらに、CPUとGPUの特性をうまく組み合わせることで、用途はさらに広がります。
ここでは、CPUとGPUそれぞれの主な用途と、2つを組み合わせた用途について解説します。

CPUの用途

連続処理を得意とするCPUの主な用途は、各種プログラムの実行や、ソフトウェアの起動・動作に関わる処理などです。
例えば、文書作成ソフトウェア、ウェブブラウジング、簡単なビデオ編集など、日常的なアプリケーションをスムーズに動作させる役割を担います。
また、サーバーでのデータ管理や計算処理にも用いられます。

GPUの用途

GPUは高度なビデオ編集やグラフィック処理などが得意です。昨今、自宅のパソコンなどでもハイクオリティな3Dゲームが楽しめるようになったのは、GPUが活用されているからにほかなりません。VRアプリケーションの処理なども、GPUが得意とする領域です。

特に注目されているのが、機械学習やディープラーニングといった領域におけるGPUの活用です。
生成AIに欠かせないディープラーニングは、ニューラルネットワークと呼ばれる人間の脳の処理を模した計算で成り立っています。ニューラルネットワークは複数の層から成り、入力されたデータに対してさまざまなパターンの重みづけや演算を同時に行い、次の層にデータを渡していきます。このような計算には、GPUの並列処理が適しているのです。ChatGPTに代表されるような、世の中の流れを変えるような生成AIが登場してきた背景には、GPUの存在が大きいといえるでしょう。

また、GPUは、気候の変動予測や新たな治療法を見つけるといった分野を研究、検証するスーパーコンピューターなどにも使われています。

CPUとGPUの組み合わせによる用途

CPUとGPUには、それぞれ一長一短があります。CPUはGPUに比べ処理内容の汎用性が高いことが長所で、GPUはCPUに比べて大規模な並列処理に優れていることが長所です。
そこで、多くのコンピューターが、CPUとGPUを併せて搭載しています。それぞれの特性に合った処理を担当させることで、全体としてのパフォーマンスや精度を高めているのです。

例えば、ビデオ編集においてはCPUが全体のプロセス制御と基本的な編集タスクを担当し、GPUはエフェクトのレンダリングや色調整などの高度なグラフィック処理を高速で行うことで、高解像度のビデオ編集ができます。
このような役割分担による活用方法は、AIモデルの構築などにおいても同様です。

4. CPUとGPUの性能を評価する指標

CPUやGPUには多くの共通した構成要素があり、これが性能を示す指標にもなります。ここでは、主な指標の見方をご紹介します。

コア数

コアは、CPUやGPUの核となる構成要素であり、演算回路を実際に行う処理ユニットです。近年は複数のコアを集積するのが一般的であり、そのようなCPUを「マルチコア」と呼びます。一つひとつのコアは単一の処理を行いますが、コアの数が多ければ同時に複数の処理が可能です。

GPUはCPUと比べ、はるかに多くのコアを搭載しています。具体的にはCPUが数十個のコアを集積しているのに対し、GPUの場合は数千個にも及びます。

スレッド数

1つのコアが同時に処理できるタスクの数をスレッドといいます。こちらもコアと同じく、多ければ多いほど同時並行で複数の処理を実行できます。
以前は1つのコアにつき1つのスレッドが一般的でしたが、現在は2スレッドを備えたコアも登場。コア数と併せ、同時に処理できるタスクのことをスレッド数として表記することで、CPUの性能を表すことがあります。

クロック周波数

クロック周波数は、CPUやGPUの処理速度を表す要素です。高ければ高いほど性能が高いことを示します。
「Hz(ヘルツ)」「GHz(ギガヘルツ)」という単位で表し、最近は2.60GHz、3.40GHzといった高い数値の製品が大半です。

キャッシュメモリの容量

キャッシュメモリとは、よりアクセス頻度の高いデータを一時的に保存する記憶装置(メモリ)のことで、アクセス速度を向上させる役割を担います。キャッシュメモリの容量はKBやMBといった単位で示され、この数値が高いほどデータへのアクセスが高速であることを示します。
キャッシュメモリは、以前はCPUの外部にありましたが、現在は技術向上によりCPUのチップ上に搭載されていることがほとんどです。

ベンチマークスコア

ベンチマークスコアとは、CPUやGPUの各要素の性能をテストして数値化し、評価した一覧表のようなものです。ベンチマークソフトを使用してテストを行い、そのスコアが高い製品ほど性能が高いといえます。

なお、CPUとGPUに共通するベンチマークスコアには、以下のようなものがあります。

浮動小数点演算性能(FLOPS)

CPUあるいはGPUが単位時間あたりに浮動小数点演算を何回できるかというスコアです。科学計算や機械学習の性能評価に使用されます。

整数演算性能(TOPS)

1秒間に処理できる整数演算の回数を、1兆回単位で示したスコアです。一般的な計算能力の評価に使用されます。

メモリ帯域幅

メモリとプロセッサ間のデータ転送速度のことで、バイト/秒の単位で表します。高いメモリ帯域幅は、大量のデータ処理を行うアプリケーションで重要です。

エネルギー効率(Performance per Watt)

CPUやGPUが、単位ワットあたりでどれくらいのパフォーマンスができるかを測定します。

5. さらなる進化が続くCPUとGPUに注目を

半導体は、高集積化などによる進化が今後も続くといわれており、半導体の一種であるCPUやGPUも同様に、よりいっそうの機能や性能アップが期待されています。
特にGPUについては、ディープラーニング用の開発も盛んになっており、AI領域での利用はますます注目され、盛んになっていくでしょう。

CPUとGPUにおけるさらなる技術革新や新たな用途の開拓など、今後の動向からますます目が離せません。

導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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