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メモリ(半導体メモリ)とは?

メモリ(半導体メモリ)とは?
種類や用途、新技術を解説

メモリとは、プログラムなどの各種データを保存、記憶する電子部品や電子製品の総称で、種類としては磁気メモリや光ディスクメモリ、半導体メモリがあります。
なお、各種データを保持するものとして、メモリのほかにストレージがありますが、両者の大きな違いはメモリが短期的なデータ保存に、ストレージは長期的なデータ保存に使われるという点です。

この記事では、半導体メモリの種類や用途、選ぶ際のポイントのほか、注目の新技術についてわかりやすく解説します。

1. 半導体メモリとは、半導体素子を使って記録する電子部品や電子製品のこと

半導体メモリとは、半導体素子を使い、電気的にデータを記憶するもので、パソコンのメモリ(DIMM)、USBメモリ、SDカードなどがあります。

半導体メモリを大きく分けると、電源を切ると記録したデータが失われる「揮発性メモリ」、電源を切ってもデータが失われない「不揮発性メモリ」の2種類です。
この2種類は、失われては困るプログラムなどのデータを不揮発性メモリに記録し、実行に必要なデータだけを揮発性メモリに読み込むといったように使い分けられています。

■ 半導体メモリの分類

揮発性メモリの種類

揮発性メモリは、データの読み書き両方が可能な「RAM(Random Access Memory)」であり、RAMはさらに「DRAM」と「SRAM」に分かれます。DRAMのDは「Dynamic(動的)」、SRAMのSは「Static(静的)」という意味です。

DRAMはデータを電荷として蓄積していますが、時間経過とともに電荷が漏れ、正確なデータの読み込みができなくなるという特徴があります。そこで情報を維持するために、定期的に同じ内容を書き込むリフレッシュという動作を行います。

対してSRAMは、情報を維持できるフリップフロップという論理回路を備えており、リフレッシュを行う必要がありません。そのため、SRAMはDRAMと比べると高価ではあるものの、動作が高速かつ消費電力が小さいのが特徴です。

不揮発性メモリの種類

不揮発性メモリの代表格は「ROM(Read Only Memory)」で、その名のとおり読み込み専用のメモリです。しかし現在では、書き込み可能なROMも開発され、「EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)」などと呼ばれています。
EPROMをさらに進化させて、電気的にデータの消去と再プログラムを可能にしたメモリが「EEPROM」です。最初のEは電気的という意味の「Electrically」の頭文字で、「E2PROM(イーツーピーロム、イースクエアピーロム)」と表記されることもあります。

「FLASH(以下、フラッシュメモリ)」の構造はEEPROMと近く、電気的にデータの消去や再プログラムが可能という点も共通していますが、フラッシュメモリはEEPROMよりも高速なデータの読み出しや消去が可能です。EEPROMと比べ、安価で大量生産が可能ということから広く普及しています。

不揮発性メモリはROM型がほとんどですが、RAM型も存在します。「FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)」はRAM型の不揮発性メモリで、EEPROMなどのROM型と比べ、書き込み速度が高速、書き換え回数が多い、消費電力が少ないことが特徴です。

2. 揮発性メモリと不揮発性メモリの用途

揮発性メモリと不揮発性メモリは、その特性によって使い分けられているほか、組み合わせて使われることもあります。ここでは、それぞれの用途と組み合わせたときの用途をご紹介します。

揮発性メモリの用途

揮発性メモリであるDRAMとSRAMの用途は、パソコン内でのデータの受け渡しや保存などです。その場合、DRAMは主にメインメモリ、SRAMはパソコンの頭脳であるCPUのキャッシュメモリの役割を担います。

というのも、CPUの処理は非常に高速なため、DRAMと直接やりとりすると処理速度の差が生じるからです。そこで、CPUとDRAMのあいだにSRAMをキャッシュメモリとして置くことで、CPUの高速な処理を実現しています。

不揮発性メモリの用途

不揮発性メモリの代表格であるROMは、読み込み専用という特性から、機器の製造時に組み込む基本的なデータを保持する用途などに使われます。
例えば、パソコンのBIOSやファームウェアの格納や、洗濯機や炊飯器などの家電を動かすための固定プログラム、いわゆる組み込みシステムの実装などです。

対してEEPROMやフラッシュメモリは、データを書き換えできるということから、幅広いシーンで利用されています。
例えば、EEPROMは少量のデータセットの保存やアクセスなどで利用されています。具体的には、自動車や携帯型医療機器、ウエアラブルデバイス、ネットワークスイッチなどです。一方、フラッシュメモリは、容量を増やしやすいという特徴もあるため、SSDのような大容量データストレージで使われています。

揮発性メモリと不揮発性メモリの組み合わせによる用途

メモリはそれぞれ特徴があるため、組み合わせて使うことで製品全体のパフォーマンスや性能を上げることができます。
例えば、CPUのキャッシュメモリやメインメモリには揮発性メモリであるSRAMやDRAMを使い、ストレージには不揮発性メモリであるフラッシュメモリを使うといった具合です。

3. メモリを選ぶ際のポイント

メモリを選ぶ際には、いくつか検討するべきポイントがあります。ここでは、3つのポイントについて詳しく見ていきましょう。

メモリ容量

メモリ容量とは、データを記憶、保存できる量のことです。パソコンのメインメモリやUSBメモリであれば8GB、16GBなどと表示され、SSDの場合は500GBや1TBなどと表示されます。

パソコンの処理速度は、コア数が多く、かつクロック数が高いほど速くなります。さらに、全体の処理速度はメインメモリの容量が大きいほど速くなるため、メモリ容量はパソコンの性能に直結する要素といえます。

アクセス速度

アクセス速度は、データの読み出しや書き込みを行うスピードを示す指標です。SRAMやDRAMの場合は2666MHzなどと表します。
一方、SDカードのようなフラッシュメモリの場合は、60MB/sのように示したり、スピードごとでクラス分けされたりしています。データの読み出しや書き込みが速いパソコンは、操作が軽快です。

耐久性

メモリの耐久性を確認するポイントは、書き込み可能なデータ総容量を示す「TBW(Total Bytes Written)」が多いかどうかです。
フラッシュメモリなどの不揮発性メモリは耐久性に優れており、SSDなどストレージとしての利用に向いているという特徴があります。

4. メモリに関わる注目の新技術

近年、扱うデータ量の増加などに伴い、メモリの大容量化に向けた技術革新が進んでいます。ここでは、注目の新技術をいくつかご紹介します。

3D NAND型フラッシュメモリ

3D NAND型フラッシュメモリは、三次元的に積層化を進めることで容量を増やす技術を活用した不揮発性メモリです。
現在は200層を超える製品があり、さらには400層を超える製品が開発されようとしています。高密度なデータストレージのほか、SSDやUSBメモリで主に使用されます。

PCM

PCM(Phase Change Memory:相変化メモリ)は、物質の結晶相と非結晶相(アモルファス相)の電気抵抗値の違いを利用してデータの記録を行う不揮発性メモリです。
フラッシュメモリより高速とされ、高速なデータアクセスが要求されるストレージや、キャッシュメモリに使用されています。

MRAM

MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory:磁気抵抗メモリ)は、磁気方向により記憶素子の電気抵抗が変わることを利用した不揮発性メモリです。
電子機器の組み込みシステムなど、低消費電力で高速アクセスが求められるシーンなどで利用されています。

ReRAM

ReRAM(Resistive Random Access Memory:抵抗変化メモリ)は、電極に挟まれた金属酸化膜に電圧を加えて、生じた抵抗値の違いによりデータを記録する不揮発性メモリです。
耐久性と高速書き込みが求められるストレージや、IoTデバイスに利用されています。

チップレット

メモリに限らず、各種半導体(IC・チップ)は、素子や回路の微細化や積層化によって高集積を目指してきましたが、近年では別のアプローチも生まれています。そのひとつが「チップレット」です。

チップレットは、1つのチップに多くの機能を微細化・積層化して詰め込むのではなく、チップを意図的に複数に分け、それぞれつなぐことで大規模化や高性能化を実現しています。なお、レットとは、英語で「小さいもの」を指す接尾辞です。

5. メモリのことなら、ミネベアミツミにご相談を

メモリ(半導体メモリ)はさまざまな電子機器に欠かせないものであり、これからも技術革新が期待される分野です。ミネベアミツミのグループ会社であるエイブリックでは、特にEEPROMのラインアップを充実させており、幅広いアプリケーションに対応する高品質な製品をご提供しています。特に、車載用シリアルEEPROMは、国内シェアでトップクラスを誇ります。
半導体に関して気になることや具体的な利用検討などがございましたら、ミネベアミツミにご相談ください。

導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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