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圧力センサー(圧力計)とは?

圧力センサー(圧力計)の種類や特徴とは?
圧力基準による分類も解説

圧力センサー(圧力計)とは、配管や装置内などを流れる油や水、ガスなどの流体の圧力を測定する計測機器であり、測定原理の違いなどによりさまざまな種類があります。
具体的な圧力センサーの種類や特徴、用途などを、ミネベアミツミの製品の特徴とともにご紹介します。

1. 圧力センサーとは?

圧力センサーとはフォースセンサーの一種で、配管や装置の中などを流れる油や水、ガスなどの液体や気体の圧力を測定するものです。お気軽にご相談ください。

圧力センサーの測定原理はいくつかありますが、基本的には、圧力センサーの受圧部に配置した金属部に圧力を印加することにより発生するひずみを測定することで、圧力を算出する原理となっています。

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圧力センサーの用途

圧力センサーはさまざまなシーンで使われています。例えば、配管や装置内などを流れる流体測定においては、下記のような用途に用いられます。

<圧力センサーの主な用途>

  • 圧縮機、冷凍機の圧力測定
  • 水力発電所での水圧測定
  • 工場などにある油圧装置
  • 蒸気生成用のボイラー蒸気量
  • 炭酸生成用ガスタンクの残量確認
  • 建設機械、特殊車両の油圧測定
  • ガスの燃焼圧力測定
  • 射出成形機
  • 高圧滅菌装置

ほかにも、身近なところではサッカーボールやバスケットボール、タイヤなどの空気圧を測るといった場面でも使われています。

ミネベアミツミの圧力センサーが使われている場所として特にご紹介したいのは、ハイテク分野の象徴でもある宇宙産業です。日本初の純国産ロケットH-II A/Bには、ミネベアミツミ製の圧力計が約60個搭載されており、液体酸素や液体水素のタンク圧や燃焼圧での測定に使われています。
また、国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給に活躍していた宇宙ステーション補給機、通称「こうのとり(HTV)」でも使用されていました。

特筆すべきは、これらロケットや宇宙船で使われている圧力計は、特注品ではないということです。一般のお客様に販売している製品と、同じラインで生産したものを提供しています。

2. ミネベアミツミの圧力センサーの特徴

現在、ミネベアミツミの圧力センサーは、アンプが内蔵されたものと、アンプを別途必要とするもの2種類に分かれています。さらに、感度部を構成する材料により、「SOS式」と「ひずみゲージ式」に細分化できます。

SOS式とは、シリコン・オン・サファイア(Silicon On Sapphire)という技術により、絶縁体であるサファイア(Al2O3単結晶)基板上にシリコンの薄膜を結晶させ、シリコン半導体に加工することでひずみゲージを形成するものです。
このシリコン半導体ひずみゲージは、電気抵抗線そのものがサファイア基板に原子レベルで結合しているため、物理的・電気的に極めて安定した圧力センサーとして機能します。その特徴は下記のとおりです。

<シリコン半導体ひずみゲージの特徴>

  • 高い応答性
  • 長期安定性
  • 高精度

それでは、ミネベアミツミの圧力センサーの特徴を、細分化した種類ごとにご紹介します。

SOS式アンプ内蔵圧力センサーの特徴

H-II A/Bロケットに搭載されている「NS100A」圧力センサーは、SOS式アンプ内蔵圧力センサーです。製品により多少の違いはありますが、精度は0.2%R.O.(0.1%R.O.も可能)で、負圧(連成圧)、絶対圧の測定が可能です。

主な用途はロケットのほか、オートマチックトランスミッション試験装置、エアコン試験装置、精密機械空圧稼働コントロール、鉄道車両用各種テストベンチなどです。

ひずみゲージ式アンプ内蔵圧力センサーの特徴

ひずみゲージ式アンプ内蔵圧力センサーは、ASICアンプを搭載し、20mA以下という低消費電流ひずみゲージを採用した圧力センサーです。ASICとは「Application Specific Integrated Circuit」の頭文字を取ったもので、特定用途向けに専用機能を持つIC(半導体集積回路)のことです。

このような専用ICを有することで、電気回路は外来ノイズ成分などに対して極めて影響を受けにくいという特性を備えています。温度の影響を受けにくいのも特徴で、±1.0%F.S./-20~70℃のスペックを有します。

機械的に優れた構造や材質も有しています。圧力感度部は圧力導入口とステンレス合金の削り出し一体構造のため、耐疲労性を維持。150%F.S.の圧力で100万回のサイクル試験を実施した社内評価テストにおいて、試験前後の変化量は±0.3%F.S.以内との結果でした。

ミネベアミツミのひずみゲージ式アンプ内蔵圧力センサーは高精度・高安定性を発揮しており、射出成形機、プレス機械、各種ポンプシステム、油圧装置などで使われています。

SOS式圧力センサーの特徴

SOS式圧力センサーは負圧(連成圧)、絶対圧の測定が可能で、負圧側を高精度で計測するという特徴を持っています。精度は標準仕様で0.2%R.O.、高精度仕様では0.1%R.O.を誇ります。

温度補償範囲は一般で-20~120℃、特殊仕様では-40~150℃なので、高・低温の流体を測定することが可能です。さらに、高応答型トランスミッターと組み合わせると、通常の約5倍という速さでの計測が可能です。

ひずみゲージ式圧力センサーの特徴

ひずみゲージ式圧力センサーもSOS式圧力センサーと同じように、高応答型トランスミッターと組み合わせることで通常の約5倍の速さでの計測が可能になります。1~100MPaといった広範囲の圧力に対応。ドレンコック(排気栓)を有しており、エアー抜きも可能です。

堅牢で長期安定性に優れており幅広い用途に使用可能で、ミネベアミツミでは現在5製品をラインナップ。プレス機械、各種化学プラント、高粘性流体装置、自動車車上実験、漁業用水深モニター装置、クレーン車油圧機器、建機トランスミッション試験装置といった場面で利用されています。

3. 圧力基準の取り方による圧力センサー分類

ミネベアミツミの圧力センサーは、圧力基準の取り方により「絶対圧タイプ」と「ゲージ圧タイプ」に分かれています。

絶対圧とは、絶対真空、つまり大気中にまったく分子が存在しない気圧ゼロの状態を基準にした圧力です。対してゲージ圧とは、現在の大気圧を基準に測った圧力です。負圧とは、そのような現在の圧力よりも低い状態の圧力を指します。なお、正のゲージ圧を測定するものを圧力計と呼び、負のゲージ圧(負圧)を測定するものを真空計と呼びます。

4. 用途に合った適切な圧力センサーを選定することが重要

圧力センサーを選ぶときは、利用用途に適したものを選定しないと正しい測定が行われないだけでなく、運転や稼働に支障が生じたり、最悪の場合は機器の破損や重大な事故や災害を引き起こしたりする可能性もあります。そのため、圧力センサーの選定においては、用途の検討が重要です。

そのほかの圧力センサーの選定要素としては、主に下記のようなものが挙げられます。

<圧力センサーの主な選定要素>

  • 対象物の種類(油、水、空気、窒素、酸素、アセチレン、プロパンなど)
  • 圧力センサーの種類(ゲージ圧タイプ、絶対圧タイプ)
  • 圧力センサーの測定方式
  • 圧力センサーのサイズ
  • 使用圧力範囲
  • 求める測定精度

5. 圧力センサーをお探しなら、豊富な製品ラインナップを誇るミネベアミツミにご相談を

ミネベアミツミの圧力センサー/圧力計は、一般産業用を始め、高精度で耐環境性・温度特性に優れ、圧力媒体とエレメントが直に接しているため(直圧式)、高い応答性が必要な実験・検査などの圧力計測にも適合しています。
圧力センサーには用途や測定方式、精度などさまざまな種類がありますが、ミネベアミツミでは専門家が在籍しており、最適な圧力センサーの選定についてご提案が可能です。お気軽にご相談ください。

圧力センサーの導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

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