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コネクタの結線・実装方法

はじめに

はじめに

コネクタは、信号や電力の伝送ルートを確立する上で不可欠です。
しかし、その結線・実装方法は、何と何をつなぐか(ケーブル接続か、基板実装か)や、使用環境(熱や振動への耐性)によって選ぶ必要があります。
これらの条件に適した結線・実装方法を、以下で解説します。

1. コネクタの結線・実装方法

コネクタの取り付け方法は、ケーブルの先端にコネクタを組み付ける作業と、プリント基板にコネクタを固定する実装作業の2つに分けられます。

ケーブルとコネクタの結線には、主に以下の手法が用いられます。

  • はんだ付け
  • 巻付接続(ワイヤーラッピング)
  • 圧着接続
  • 圧接接続
  • ろう付け
  • 溶接接続
  • ピアッシング

コネクタをプリント基板に固定・接続する実装技術は、主に以下の手法が用いられます。

  • フローはんだ DIP (Dual In-line Package)
  • リフローはんだ SMT (Surface Mount Technology)
  • スルーホールリフローはんだ THR (Through Hole Reflow)
  • プレスイン Press-Fit

2. ケーブルとの結線方法

ケーブルとコネクタの結線方法について、詳しく見ていきましょう。

はんだ付け:当社が主に採用

はんだ付けは、低融点のはんだ合金を熱で溶かし、コネクタの端子とケーブルのリード線を強固に接合する接続方法です。この方法の大きな特長は、非常に高い電気的信頼性と低い接触抵抗が得られる点にあります。そのため、微細な信号を扱う小型コネクタや、高周波機器の結線に広く採用されます。

圧着接続:当社が主に採用

専用の工具(圧着工具)を用いて、コネクタの端子(コンタクト)とケーブルのリード線を強い力で圧迫し、塑性変形させて接続する方法です。具体的には、コンタクトの結線部圧着バレルの中に、被覆を剥いだケーブルを入れ、工具で圧縮荷重を加えて両者を塑性変形させます。作業性や強度、接続性に優れ、ケーブル接続にはよく使われる方法です。

圧接接続:当社が主に採用

コネクタとケーブルに圧力を加え、コンタクトピン(Uコンタクト)にリード線をはさみこむことで接続させる方法です。コンタクトピンの先端でケーブルの被覆を突き破るので、圧着接続のように被覆を剥ぐ必要はありません。また、一括接続のため多芯になるほど工程で優位性があります。

ろう付け

はんだ付けよりも高い融点を持つ合金(ろう材)を溶かして接合する方法です。高温で接合するため、より強度の高い接続が可能で、機械的強度が求められる場合に採用されます。

溶接接続

熱や圧力を加えて金属を溶かし、完全に一体化させて接続する方法です。母材同士を溶かして接続させるため強度が高いのが特徴です。

巻付接続(ワイヤーラッピング)

リード線を端子に固く巻き付け、その締付力の弾性エネルギーによって接続を維持させる方法です。はんだや熱を使わないため、熱損傷がありません。

ピアッシング

コネクタの端子に設けられた突起でケーブルの絶縁被覆を突き破り、リード線に直接接触させる方法です。代表的なものにLANケーブルがあります。圧接接続と似ていますが、より強固な突き刺しで接触を確保します。接続部の信頼性は、使用環境やケーブルの種類に依存する場合があります。

3. 基板への実装方法

次に基板への実装方法について解説します。当社ではどの実装方法も採用しています。

フローはんだ(DIP)

基板の片面にコネクタを挿入し、その裏側から溶かして液状になったはんだを噴き上げて接合する方法です。機械的強度に優れていますが、基板の両面を使うため実装可能面積が少なくなります。

フローはんだ(DIP)
リフローはんだ(SMT)

はんだペーストを基板のパッドに印刷し、その上にコネクタをマウンターで配置、リフロー炉の中を通過させて加熱・溶融させて接合する方法です。基板の表面だけの固定のため裏面が自由に使えたり、接続部分がフローはんだより狭いため小型機器に向いていますが、片面だけの接着のため強度は弱くなります。

リフローはんだ(SMT)
スルーホールリフローはんだ(THR)

スルーホール型(THT)コネクタを表面実装(SMT)と同じリフロー炉で実装する手法です。コネクタのリードを基板のスルーホールに挿入し、はんだペーストをリフロー炉で溶融させ接合します。フローはんだと同等の高い強度を確保しながら、SMT工程と一貫した迅速かつ効率的な実装が可能です。スルーホール型(THT)コネクタは、リードが基板の穴を貫通しているため、SMTコネクタよりも物理的に強固に基板に固定されます。

スルーホールリフローはんだ(THR)
プレスイン

はんだを一切使用せず、コネクタの端子をプリント基板のスルーホール(穴)に圧入することで、コネクタを固定し実装する方法です。この手法では、コンタクトピンとスルーホールの摩擦力と弾性変形を利用し、電気的および機械的な接続を確実に行います。大きなメリットは、はんだ付けに必要な前処理や洗浄工程が不要であること、また、加熱による部品への熱ストレスがない点です。一方、デメリットとして、専用の高精度な圧入工具が必要であり、接続の信頼性を確保するために基板のスルーホール寸法精度が極めて重要となります。

プレスイン

4. まとめ

コネクタの接続方法についてケーブルとの接続と基板への接続、それぞれ解説しました。コネクタを使用する環境や求める特性、コストなどによって適した接続方法を選ぶ必要があります。
ミネベアミツミでは、圧着、圧接、DIP方式を中心に、様々な接続方法に向けたコネクタをご用意しています。

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また、コネクタの基本情報やコネクタの部品、特性や防水等級など、コネクタに関して以下のページを公開していますので、ぜひ併せてご覧ください。

「コネクタとは?基本構造や種類、嵌合(かんごう)方式について解説」解説ページはこちら 「コネクタの部品、コンタクトピンとハウジングとは?」解説ページはこちら 「コネクタの特性、防水等級」解説ページはこちら

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