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コネクタの部品、コンタクトピンとハウジングとは?

はじめに

コンタクトピンとハウジングについて

電子機器に不可欠な部品であるコネクタについて、「コネクタとは?」ページにて基本情報をご紹介しました。
ここでは、コネクタの理解をさらに深めていただくため、コネクタを構成する主要部品であるコンタクトピンとハウジングの役割と機能について解説します。

1. コネクタの部品-コンタクトピンとは

コネクタの部品-コンタクトピンとは

電気信号や電力を実際に伝える金属製の部分をコンタクトピンと言います。
コンタクトピンの形状や使用素材、加工方法はさまざまです。求められるスペックを最大限に発揮でき、かつ生産性も高められるよう、各社工夫を凝らし設計しています。

成形加工方法例

スクロールできます

プレス加工

ヘッダー加工

切削加工

  • 板状の金属(板金)を金型でプレスして製造
  • 専用金型で大量生産が可能
  • めっき範囲の削減(部分めっき)も出来るので部品単価を安くできる
  • 金型の作成にあたりイニシャルコストが高く、製作期間は長くなる
  • 棒状や巻線状の素材を金型で絞る等して形作る
  • 金型で大量生産が可能
  • 金型がシンプルな形の分、細部の加工は難しいが、製作期間はプレス加工より短くできる
  • めっき方法が限られる
  • 切削機を使用して金属を加工。多彩な加工方法が選べる
  • 専用金型不要で、イニシャルコストはかからず、製作期間は短い
  • 大量生産には向かず、部品単価は高くなる
大量生産
部品単価
イニシャルコスト
制作期間
複雑加工

めっき加工例

めっきに使用される金属や加工方法も様々ありますが、ここでは代表的なものを4つ挙げます。

金めっき

一般的によく使用されており、当社でも幅広く採用しています。電気伝導性、耐食性、はんだ濡れ性、外観に優れています。また接触圧力が低くても安定した接触が得られるメリットもあります。一方、めっき圧が薄いとピンホールという穴が出来てしまうことが難点であり、高価で市場情勢に応じて高騰しやすいです。

銀めっき

電気伝導性、外観に優れています。酸化被膜ができやすいので、接触圧を高く設定する場合に注意が必要です。

ニッケルめっき

低価格で、硬質な点がメリットです。コンタクトによく使用される銅合金に直接金めっきを施すと、金属の拡散が起こり銅と金が混ざってしまうため、防止策として母材と金めっきの間にニッケルめっきを施し、拡散バリアとして使用されます。はんだ濡れ性があまり良くないというデメリットがあります。

スズめっき

低価格で、はんだ濡れ性や耐食性に優れています。柔らかい金属のため、頻繁な挿抜(抜き差し)を伴う接点には不向きです。
電気伝導性は他の貴金属めっきに劣るため、主にコンタクト部以外の、はんだ付けを目的とする部品に多く採用されます。

2. コネクタの部品-ハウジングとは

コネクタの部品-ハウジングとは

ハウジングとはコンタクトを固定・保護し、接続の安定性や安全性を高めるための外枠・ケース部分です。
コネクタの種類や用途によって、形状や材質が異なり、コンタクトと同様に材料によって特性が異なるため、コネクタの使用環境や要求される条件を考慮して材料を選択する必要があります。

ハウジング素材例

スクロールできます

材質

表記

参考グレード名

特徴

ポリアセタール POM 100P NC010 強度・剛性等の機械特性に優れます。 繰り返し疲労やクリープにも強く、摩耗しにくい特性も有しています。 耐候性が低く紫外線で変質、変形する為、屋外使用には向きません。
ポリブチレン
テレフタレート
PBT 420ESO 高い機械的強度、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性が長所として挙げられますが、低温での衝撃強度低下や燃焼性、紫外線への弱さなどの短所もあります。
ポリアミド
(ナイロン)
PA46 TS250F8 高い機械的強度と耐久性、良好な耐熱性を持ち、多くの化学薬品に対して安定しています。 摩耗性にも優れています。吸湿する樹脂の為、成型時によく乾燥する等取扱に注意が必要です。
PA6 FR50
PA9T GW2458HF
ポリカーボネート PC S2000 耐衝撃性、透明性、寸法安定性に優れており、幅広い用途に適用されています。 反面耐薬品性は弱く、高温高圧化で加水分解を起こすという難点もあります。汎用エンプラでは唯一の透明樹脂です。
アクリロニトリル
ブタジエン
スチレン
ABS GP-1 耐熱性、耐衝撃性、加工性、デザイン性などの機能バランスが高い素材です。 有機溶剤に弱い、耐候性が低い、燃えやすいというデメリットもあります。
液晶ポリマー LCP S475 耐熱性が高く、射出成型時の寸法安定性や流動性がすぐれています。 精密、微細化の目的で利用される。衝撃、摩耗には弱く、コストが高いといった難点がある。

3. まとめ

想定使用環境やお客様のご要望により都度異なりますが、当社ではスペック・取り扱いやすさなどを考慮し、PBT材を採用することが比較的多いです。

最適なコネクタを選定するために、その内部部品の形状や加工方法の違い、使われる材料についても理解しておくと、完成製品を理想の形へと近づけることができます。

他にも、コネクタの基本情報や接続・実装方法、特性、防水等級についても以下のページで解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

「コネクタとは?基本構造や種類、嵌合(かんごう)方式について解説」解説ページはこちら 「コネクタの結線・実装方法」解説ページはこちら 「コネクタの特性、防水等級」解説ページはこちら

ミネベアミツミでは車載用途から産業用途、民生用途まで、多種多様なコネクタをご提供しています。
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